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「道徳」の教科化 教育への国の介入は許されない

 16日の参院予算委員会で「八紘一宇」という言葉を自民党・三原じゅん子議員が紹介し、時代錯誤の発言に驚きが広がりました。
 その文言は、「世界を一つの家にする」という意味で、絶対主義的天皇制による侵略戦争のスローガンとなりました。戦意発揚をめざす政府が閣議決定した「基本国策要綱」に盛り込まれたものです。そして、文部省(当時)によって標語の考え方や精神が子どもたちに教え込まれ、多くの青年が戦争に動員されたのです。
 こうした悲惨な経験を教訓とし、「教え子を二度と戦場に送ってはならない」と願う人々の運動によって、教育への国家の介入が抑えられてきました。
 ところが、安倍政権は、この歴史に背いて教育への介入を強め、小中学校で「道徳」を「特別の教科(道徳科)」とする「道徳」の教科化と、それに向けた学習指導要領の改定をめざしています。
 「道徳」の教科化は、国の基準による検定教科書や評価方法を通じて学校教育への国家統制を強めるものに他なりません。子どもへの「思想統制」につながるとの懸念が広がるのも当然です。「国や郷土を愛する態度」が「道徳科」の内容に含まれていることも問題です。日本の侵略戦争を肯定・美化し、集団的自衛権行使への道を突き進む安倍・自公政権の下で、戦前のような「愛国心」の押し付けが行われる危険性を指摘する声も上がっています。
 文部科学省は、学習指導要領改定案を3月中に決定し、小学校は2018年度、中学校は19年度から「道徳」の教科化を実施しようとしています。歴史に逆行し、国による教育介入の深化につながる「道徳」の教科化を許すわけにはいきません。
 「いじめ」や性的退廃が深刻化し、青少年による犯罪が後を絶たない今日、人間の生命や人格・権利を尊重し、連帯にあふれ、平和で民主的な社会の形成をめざす市民道徳を育てる教育こそめざすべきです。
 「道徳」の教科化と「戦争する」国づくりの根はひとつです。それを許さない取り組みの強化が必要です。

全国商工新聞(2015年3月30日付)
 

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