信用保証制度改悪法案 部分保証の適用拡大許されない
安倍内閣は2月20日、「株式会社商工組合中央金庫法及び中小企業信用保険法の一部を改正する法律案」を閣議決定し、3月中の国会成立に向けて動き出しました。
その法案要綱には「中小企業信用保険の特別小口保険の対象となる信用保証協会の保証割合について、部分保証を導入するための措置を講ずる」とされています。「部分保証」とは保証協会が代位弁済時に貸付金の80%しか金融機関に支払わない制度です。
これは、金融機関の貸し出し姿勢を弱めるものであり、「資金供給の充実」「不動産担保や保証人への依存を減らす」とした中小企業憲章や、「資金の円滑な供給」を明記した小規模企業振興基本法にも反したもので、断じて容認できません。
中小企業者の資金繰りを支えてきたのが信用保証協会法などによる信用補完制度です。借り手の返済を保証協会が100%保証する制度は、自治体による制度融資の拡充に道を開き、中小業者への貸し出しを後押ししてきたのです。
とりわけ「特別小口保証」は、資力や信用力の弱い従業員20人(商業・サービス業は5人)以下の小規模事業者を支える「命綱」の役割を果たしてきました。
いま、100%保証は、経営危機を乗り越えるための「セーフティーネット保証」をはじめ、災害や創業に対応する制度融資にも適用され、金融の円滑化や地場産業の維持・発展に大きな役割を果たしています。そして、「貸し渋り」を許さない力にもなっているのです。「100%保証」こそ、その源泉であり、信用保証協会による100%保証の融資残高は約17兆円に達し、全体の半分以上を占めています。
政府が狙う信用保証制度改悪が強行されるなら、その影響は計り知れません。
アベノミクスなる経済対策によって中小業者の経営悪化が進み、全国的に融資相談が増え続ける今日、融資・資金繰り相談を大いに強化するとともに、小企業者の金融円滑化を制度的に保障する信用補完制度の改善・拡充こそ急務です。「特別小口保証の部分保証化」反対の世論と運動を緊急に強めることが求められています。
全国商工新聞(2015年3月2日付) |