今年の民商・全商連運動―岡崎民人事務局長に聞く
消費税10%中止を求める運動、憲法を守り「戦争する国づくり」を許さないたたかいなど、昨年末の総選挙を受け、激動の政治情勢の下で2015年の幕が開けました。民商・全商連は新しい年にどんな運動と仲間づくりを進めるのか、全商連の岡崎民人事務局長に聞きました。
「全会員調査」成功させて切実な要求実現へ前進を
あけましておめでとうございます。
経営や暮らし、そして日本の針路でも希望の持てる明るい年にしたいと思います。
―昨年末の総選挙結果をどう見ますか
師走の忙しい時に、安倍暴走政治をストップさせようと、多くの役員・会員・事務局員の皆さんが奮闘されました。本当にご苦労さまでした。
総選挙は、政権与党が安定多数を得ましたが、一方で民商と協力・共同の関係にある日本共産党が21議席に躍進する結果となりました。消費税増税を自民党とともに推進してきた民主党や、改憲を狙う「第三極」に支持は集まらず「自共対決」の構図が強まりました。
自民党が多数議席を得ましたが、比例での得票は全有権者のわずか17%に過ぎません。大政党有利に民意をゆがめる小選挙区制の害悪があらためて浮き彫りになりました。
「建白書」の実現に向け、保守・革新の垣根を越えた共同が広がり、沖縄のすべての小選挙区で自民党議員を退場させる審判を下したことは特筆すべきことです。県民の意志は明白です。安倍政権は、普天間基地を即時撤去し、辺野古新基地建設を断念すべきです。
―国民の願いを実現するには
消費税、憲法、原発、TPP、米軍基地、集団的自衛権など、安倍政権の暴走はどれをとっても国民が反対していることをごり押ししようというものです。強行しようとすれば国民の中から大きなたたかいが起こらざるを得ません。
昨年、私たちは、国政の根幹に関わる問題で一致点に基づく共同を広げ、世論を変え、政治を動かす力を発揮してきました。保守の人々との共同や、広大な無党派の人々が自発的、主体的に参加する新しい市民運動の流れが発展しています。そして、さまざまな「一点共闘」が互いに連携・連帯して、政治そのものを変えるうねりをつくり出す可能性が生まれていることも大きな特徴です。
情勢の大局は、まさに「歴史の転換点」です。4月のいっせい地方選挙では、要求と政治を結ぶ対話運動を強め、中小業者の要求実現をめざします。
―増税中止の運動が重大局面ですね
この間、増税による影響・実態を告発し、署名・宣伝・対話で世論を広げ、10%への増税を延期させる状況をつくりだしました。消費税8%への増税自体が間違った政治判断であったことが明確になっています。延期でなく増税を断念し5%に戻すことこそ、中小業者・国民の願いであり、景気回復への道です。いま進めている「消費税率を5%に戻し、増税中止を求める」署名は、請願趣旨を情勢に合ったものにしました。新しい国会に向けて大きく広げましょう。
「税金の民商」の本領を発揮し、確定申告では、自主計算・自主申告を徹底し、納税緩和措置の活用も含め一人ひとりが主権者として権利を行使できるようにします。申告納税制度の擁護発展をめざし、班・支部で集まって自主記帳・自主計算の活動を強めます。複雑化した消費税の計算の学習や、「つぶされない対策」も話し合いましょう。
消費税に軽減税率が導入されるなら、適用される企業には「隠れた補助金」となり、納税事務の負担増やインボイス導入、免税点引き下げに連動します。国民の負担軽減というなら税率全体を引き下げるべきです。
「納税者の権利憲章」(第2次案)を力に、税務行政のあらゆる面に適正手続きを貫くよう求め、強権的な徴税攻勢とたたかいます。
3・13重税反対統一行動は、昨年、労働者や医療団体などとも連携して、重税に反対する一大共同行動として取り組まれました。さらに発展させ、法人申告の会員にも呼びかけ、増税中止運動の結節点として、納税猶予の申請とも結合し最大規模で成功させます。
―切実な要求実現の運動をどう進めますか
春の運動期間に、「経営・暮らし・健康の向上」全会員調査に取り組みます。
滞納や国保証未交付、納税猶予、資金繰りなどの要求を機敏に取り上げ解決します。許認可問題を含む、業種別・問題別対策にも生かします。健康診断の受診者を飛躍的に増やす契機ともします。
前回2002年調査でも、民商・全商連でしか示せない小規模事業者の実態告発となりました。取り組み方をよく相談し、すべての会員から結集できるよう推進体制を確立します。ご協力をお願いします。
自治体との懇談を強め、商店版リニューアル助成の創設や地方税滞納への対応、国保や社会保険の制度改善などを求めます。「日本版・小企業憲章(案)」を示し小規模企業振興基本法に基づいてすべての中小業者への支援の具体化を迫ります。
今月29日の全中連・中小業者決起大会(日比谷公会堂)と省庁交渉に切実な要求と署名を持ち寄りましょう。
―平和・民主主義も重大な年になりますね
集団的自衛権行使容認への法整備や秘密保護法の具体化など戦争する国づくりに反対します。
憲法の平和的民主的条項を、「生きることが優先する」たたかいに生かします。
「核兵器全面禁止のアピール」署名を大きく広げ、NPT(核拡散防止条約)再検討会議への代表派遣にも取り組みましょう。
―仲間づくりも期待されていますね
中小業者の役割が正当に発揮できる社会の実現には、道理を掲げ、団結を強め、国民共同を推進する民商・全商連が大きくなることが大切です。地域にどんな民商をつくるのか展望を語り合いましょう。拡大への特別な力の集中が必要です。
積み重ねてきた数々の成果や実績、仲間の温かさのある民商の魅力を、ぜひ地域の中小業者に知らせていただきたいと思います。
商工新聞読者30万人と会員20万人の回復・突破をめざしています。「民商はいいよ」「商工新聞はためになるよ」の紹介運動にご協力ください。
6月には、全国6会場で地方別活動交流会を開催します。要求を掘り起こし目標を堅持した攻勢的な拡大を進め、地域に門戸を開く相談活動と商工新聞の積極活用、学習を力に助け合いが実感できる班・支部建設を推進します。
共済会は、いのちと健康を守る活動を進め、会員加入率80%と配偶者の共済加入をめざします。婦人部は、40年の歴史を確信に家族経営の生き抜く道を探求します。商売でも、民商運動でも世代的な継承・発展が求められています。「業者青年に魅力ある民商建設」に力を注ぎます。
婦人と青年の経営意欲を高め、所得税法第56条廃止と地位向上をめざします。部員を増やし、すべての民商で婦人部・青年部を結成・再建します。
「その地域で商売をしていること自体が社会貢献」であることに確信を持ち、中小業者が希望の持てる社会をめざし、力を合わせて展望を切り開きましょう。
全国商工新聞(2015年1月12日付) |