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川内原発の再稼働 安全無視した「合意」は撤回せよ

 安倍政権が原発再稼働の突破口として位置付ける鹿児島県の九州電力・川内原発をめぐる動向が注目を集めています。すでに立地自治体の薩摩川内市の議会と市長が同意し、鹿児島県議会が再稼働を求める陳情を県民の反対の声を無視し採決、県知事も「万一事故が起きたときは国が責任を持って対処する」と約束されたとして再稼働を認めました。
 原子力規制委員会は「原発に絶対安全はない」と繰り返しており、桜島など活火山の影響も無視し、審査に「合格」とは、あまりにも国民の安全をないがしろにしています。避難計画もお年寄りや障害者の移動手段は考慮されておらず、専門家からも「紙の上の計画」と指摘されています。最近の世論調査でも、運転再開の賛否に「賛成」31%、「反対」51%。30キロ圏内の自治体の合意が必要と考えるのは72%に及んでおり(朝日新聞11月11日)、再稼働は民意に背く暴挙です。
 東日本大震災以降、原発に頼らず再生可能エネルギーへの転換を求める流れは大きくなっています。それに対し九電などは全量買い取りが義務付けられた再生可能エネルギーの買い取りを拒否して大問題になっています。買い取り価格が高い、太陽光・風力発電は不安定などとしていますが、こうしたエネルギー開発に原発予算を振り向ければ、安定的な電力とすることは可能となり、その潜在的な力は無限にあるといわれています。
 安倍首相は原子力規制委員会の新しい規制基準に合格した原発は再稼働させるとしてきました。しかし、いったん事故が起きればその被害は取り返しがつきません。そのことは福島第一原発の事故から3年半が経過しても、いまだ12万人以上が避難を余儀なくされていることからも明らかです。
 福島県連婦人部協議会がまとめた被災体験手記集(前号既報)には、国と東電への怒りと悔しさがあふれています。二度とこんな思いをする人たちをつくってはなりません。
 避難計画の不備や事故が起こる危険性を直視し、反対世論に従うなら、再稼働などあり得ません。原発ゼロの実現こそ求められます。

全国商工新聞(2014年11月24日付)
 

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