小規模企業復興基本計画 全中小業者が活用できる制度を
経済産業省が10月に「小規模企業振興基本計画」を公表しました。6月に制定された小規模企業振興基本法に基づき、施策の基本方針や重点、必要事項などを明らかにしたものです。
この「基本計画」の原案が8月に示された際、全商連は直ちに意見表明を行いました。地方公共団体の役割と責任分担を明らかにして、社会保険料負担の軽減や円滑な事業資金の供給を追加するよう求めました。しかし具体的な改善はされませんでした。
「基本計画」の公表で危惧されるのは、施策の達成状況を「日本再興戦略」の成果目標・KPIの活用などによって把握するとしたことです。KPIは安倍政権が弱肉強食のグローバリズムと市場原理主義を進めるための指標に他なりません。KPIの第一は「開業率・廃業率を10%台にする」ですが、廃業増加を目標にすること自体が「振興」の名に値せず、持続可能な地域づくりにも逆行します。第二は「黒字中小企業・小規模事業者を140万社に倍増させる」ですが、安倍政権は庶民の生活費を奪う消費税増税や社会保障の解体を強引に進めています。家計を疲弊させて、「売り手よし・買い手よし・世間よし」に結びつくはずもありません。第三は「新たに1万社の海外展開を実現する」です。国際取引の不透明さは、貧困と格差を背景として格段に増し、海外展開を強めてきた大企業の横暴を取り締まる体制も極めて限られている現状です。優先すべきは内需と地域経済の活性化に資する施策であり、公正な取引ルールの確立です。
「基本計画」の重点施策では「商工会・商工会議所による伴走型の支援」が随所に強調されています。しかし官制団体による補助事業の囲い込みや、安倍政権の新たな金権支配を許すことはできません。
地域をたたかいの舞台として、支援策や予算を分析し、業種別・問題別対策も強めて、全中小業者が活用できる施策と制度を確立するよう迫ることが強く求められています。危機打開の全自治体要請を行動参加の倍増で推進し、切実な要求実現に力を合わせましょう。
全国商工新聞(2014年11月3日付) |