防災の日 いのちと財産守る政治の役割発揮を
「防災の日」が目前です。災害についての認識を深め、備えを充実強化し、未然防止と被害軽減に資するためにと、1960年6月に閣議で了解され、創設されました。
防災の日とされた9月1日は、91年前に10万人超が犠牲となった関東大震災の発生日であり、創設の前年には5000人以上の死者を出した伊勢湾台風が発生しました。1983年からは「防災週間」も設けられ、度重なる災害から教訓を学び、備えの強化が広く呼び掛けられます。
東日本大震災の発生後、災害対策基本法改正や「南海トラフ地震防災対策推進基本計画」が策定され、自治体では「地域防災計画」の見直しが進められてきました。
「備えあれば憂いなし」というように日ごろからの災害対策が肝心です。そのためにも、最も身近な自治体が作る防災計画の内容がしっかり機能するかどうかを点検し、自治体がどういう災害を想定し、どう対応しようとしているのかをつかむことが欠かせません。
災害への対応を行政だけで行うには限界があり、住民や中小業者の協力が不可欠です。全商連が「日本版・小企業憲章」案で示しているように、「地域の特徴をつかみ、地域住民との密接な関わりを生かした防災・人命救助、環境の保全や地域社会の存続、安全確保に知恵と力を発揮している」中小業者の役割が防災計画に具体化されているかどうかも大切な視点です。
ライフラインの確保や修復、燃油や食料、生活必需品の供給など、災害時に必要なさまざまな役割発揮が求められることから、自治体と事業者が協定を結び、平素から取り組むよう、災害対策基本法も求めています。
巨大地震が想定される今日、原発の再稼働を阻止し、再生可能な自然エネルギーへの転換は急務です。住宅の耐震化・不燃化、家具の転倒防止、感震ブレーカーの普及、海岸堤防の整備、避難路の確保など、中小業者が担える防災・減災分野は多様です。
こうした取り組みを支え、住民の命と財産を守ることを最優先にする政治の役割が求められています。
全国商工新聞(2014年8月25日付) |