払い切れない国保料(税) 負担軽減や制裁行政の是正こそ
国保料(税)の納付通知が送付され、「どうやって払えというのか」との悲鳴や憤りが中小業者・国民に広がっています。
厚生労働省の調査でも、国保加入者の所得水準は大企業等の健保組合加入者の4割程度です。しかし保険料は平均で健保加入者の約2倍です。所得が低いのに高い保険料を負担させられる国保の構造的な矛盾を断じて許すことはできません。
さらに重大なのは、国保の運営責任を市町村から都道府県に変える検討が進められていることです。来年の通常国会で法案提出が予定されていますが、国保が都道府県単位の運営になれば、保険料が高い市町村の水準になるであろうことは、この間の自治体合併の経験からも明らかです。
また、収入不足を補ってきた一般会計からの法定外繰り入れも困難になるでしょう。加えて、保険者と加入者の結びつきも希薄になることから、国保料(税)を払いきれない加入者には、これまで以上に過酷な保険証取り上げや、強権的な差し押さえが横行する事態を招きかねないのです。
いま大切なのは、社会保障である国保の解体を許さず、危機打開と真の医療保障を求める世論と運動を強めることです。
今日の国保制度が確立して53年、日本の持つ経済力を国民本位に活用すれば、「生活費に課税せず、能力に応じて公平に負担する」という原則に立った国保料(税)の大幅引き下げを実施できます。国庫負担を大幅に増やし、憲法が定める「生存権」や「法の下の平等」「財産権」を守る制度にすることこそ求められているのです。
同時に、国保財政が悪化した根本的な原因として、大企業による身勝手なリストラ・人減らしや雇用破壊があることも見逃せません。健康保険料を含む法定福利費を削減し、大もうけを重ねる大企業の横暴を是正するためにも、「ためこみ利益」から国保財政へ拠出金を支払わせる制度を確立するべきです。
払いきれない国保料(税)に苦悩する住民と連帯して集団減免申請や制裁行政の是正に取り組み、いのちと健康を守る国保の実現に力を合わせましょう。
全国商工新聞(2014年6月30日付) |