医療・介護総合法案 利用制限招く制度改悪を止めよ
今国会で、医療・介護総合法案が審議されています。社会保障への国の支出を削減するため、医療・介護サービスの利用を次々と制限し、医療・介護の基盤を崩す重大な内容が含まれています。こうした内容には医療関係者をはじめ、強い批判の声が上がっています。
問題点の一つは、高齢化などで2025年には202万床が必要と推計される入院ベッド数を40万床以上少なくするなど、都道府県が病院に病床削減を勧告する仕組みをつくることです。すでに国の政策(DPC定額支払い制度)によって、平均入院期間は15日から13日半へ短縮されており、病気やけがが治り切らないのに退院させられる状態にあります。強引な病床削減は、患者の追い出しをすすめ「漂流患者」を激増させることになります。
もう一つは、発足以来という介護保険の改悪です。要支援1・2の高齢者の訪問・通所介護を、国の責任で行う介護保険サービスから切り離し、市町村の責任に移すことです。こうした事態は、介護の格差を生み、多くの介護難民を生むことになります。要支援者=「軽度者」ではありません。認知症による徘徊などで、家族の負担は想像を絶するものがあります。特養ホームの利用も要介護3以上に限定し、介護利用料の負担も1割から2割に増やすものです。
全商連が行う営業動向調査では暮らしで困っていることとして2割の業者が「病気・介護」を挙げています。特養ホームの待機者はすでに52万人もおり「門前払い」も横行しています。
法案は家族の介護負担をいっそう深刻にし、現職世代の離職や家業を困難にする医療・介護の大改悪といえるものです。
消費税の大増税を強行し、社会保障も改悪する安倍内閣の政策に一片の道理もありません。増税による負担増は、すでに耐え難くなっています。
憲法25条をないがしろにし、国民に自己責任、自助努力を迫る社会保障の大改悪を許すことはできません。すべての国民、中小業者が安心して医療・介護を受けられる社会保障制度へと世論と運動を早急に広げましょう。
全国商工新聞(2014年5月19日付) |