亡国への暴走政治は許されない
4月25日に発表された日米共同声明には、集団的自衛権の行使容認への検討を「歓迎し、支持する」ことや「尖閣諸島も含めて日米安保条約第5条の適用対象にする」ことが盛り込まれました。
同時に、沖縄の新基地建設や日米軍事協力の指針(ガイドライン)改定に言及し、TPP(環太平洋連携協定)締結への「前進する道筋を特定した」ことは重大です。
「日米同盟」の強化を宣言する声明の内容は、わが国の主権と人権を脅かし、日本経済にも悪影響を及ぼすものであり、とうてい容認できません。
とりわけ、集団的自衛権の行使に道を開くことへの支持表明は、解釈改憲によって憲法9条を空文化させ、日本を戦争する国につくり変えようとする安倍政権の暴走を促すものであり、言語道断です。
現に政府・自民党は、改憲手続法の国会審議を強引に進め、「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(安保法制懇)の報告書に基づいて、閣議決定で憲法解釈を変更しようとしています。
TPPでも、交渉参加国はもともと「関税ならびに物品・サービスの貿易及び投資に対するその他の障壁を撤廃する」ことで合意しており、協議を継続する以上、アメリカの要求に従わざるを得なくなることは明らかです。
こうした国づくりを支える財源確保のために消費税のさらなる増税を狙う安倍首相は、年末までに10%への引き上げを判断すると表明しています。
日米共同声明による政策実行は、広範な国民とアメリカや財界の利益を最優先する安倍政権との矛盾を激化させます。
日本の針路を左右する歴史的な転換点といわれる今日、国民の過半数が反対する憲法改悪や消費税増税をはじめ、地域ぐるみの反対運動が高まるTPP参加や沖縄・辺野古への米軍基地建設の強行を許すわけにはいきません。
経済、外交、軍事などあらゆる問題でアメリカに追随する亡国への暴走政治を阻止し、持続可能な人間復権の社会をめざす国民的共同の発展が求められています。
全国商工新聞(2014年5月12日付) |