エネルギー基本計画案 原発ゼロ民意無視は許さない
東日本大震災、東電福島第一原発の事故から3年が経過しました。本紙やマスメディアで報道される、中小業者の営業再建に取り組む姿に希望を見いだし、震災や原発事故を忘れないとの思いを強くした方も、多かったのではないでしょうか。被災地では、インフラの整備は進みつつあるものの、住宅再建は大きく遅れ、さらなる復興支援が求められます。
こうしたもとで、政府は日本の針路を左右する新たな「エネルギー基本計画案」を閣議決定しようとしています。その内容は、前民主党政権が打ち出した「2030年原発稼働ゼロ」の計画を見直し、原発を「重要なベースロード電源」として、国民世論を無視した再稼働に道を開くものになっています。
政府は、原発を「発電コストが低廉で、昼夜を問わず安定的に稼働できる電源」としています。しかし、原発事故は予想のつかない被害を及ぼし、事故収束に膨大な費用や時間を費やし、使用済み燃料の処分コストなどを考えれば「低廉」などとは到底言えません。原案にあった「基盤となる重要なベース電源」の「基盤」という言葉を削除しても、原発推進の方向に変わりはありません。原発依存度を「可能な限り低減させる」としながら、安定供給、コスト低減の観点から「規模を見極め」「安全性」が確認された原発は再稼働すると明言しています。
原発事故の原因も解明されず、汚染水を垂れ流し、いまだ14万人が避難を余儀なくされるもとで、財界・電力業界の意向に沿った再稼働、エネルギー政策を進めることは許されません。
再生可能エネルギーへの転換はできます。中小業者による太陽光や小水力発電の取り組みも始まっています。原発につぎ込まれている補助金や資金を再生可能エネルギーの研究開発に回せば、安定的なエネルギーとすることも可能です。
3月11日前後には「ノーニュークスデイ」などの取り組みが全国47都道府県で行われ、国民の再稼働反対、原発ゼロの意思が示されました。原発再稼働を許さず、抜本的にエネルギー政策を変える国民世論を大きく広げましょう。
全国商工新聞(2014年3月24日付) |