公約違反のTPP参加 署名広げ安倍政権に離脱迫ろう
環太平洋連携協定(TPP)年内妥結をめざす安倍内閣と自民党は、重要5項目=コメ、麦、牛・豚肉、乳製品、砂糖など甘味資源作物の関税は「撤廃せず『聖域』にする」との公約をかなぐり捨て、5項目に含まれる586品目ごとに関税を撤廃する検討作業に入りました。
これに対し、各地の地方議会では「交渉からの離脱」「直ちに撤退」を求める意見書の採択が相次いでいます。
アメリカのオバマ政権は「TPP年内妥結」を各国に迫っていますが、国内産業との調整や主権侵害を危惧する新興諸国と鋭く対立し、3日からインドネシアで開かれた首脳会合では「大筋合意」さえ得られませんでした。そのこと自体が、アメリカ主導の交渉と各国の矛盾を反映しており年内妥結の可能性を疑わしくしています。
しかし、安倍首相は米国に追随し「交渉促進」を主導。そこで、交渉の「障害」となる日本の「聖域」枠の見直しという方針転換を既成事実にするという「背信行為」に踏み込んだのでしょう。
しかもこれは、重要5項目内の個別品目を関税撤廃の対象にすれば、米国が主張する「関税自由化率90%後半」に持ち込めるという計算も働いており、アメリカ向けの詭弁にほかなりません。
そもそもTPPは貿易自由化とともに、各国の制度を共有化し、多国籍企業の利益を最大限保障しようとするものです。各国の経済主権を侵害し、国民生活を破壊する危険は、安倍政権の公約違反・背信をも顧みない交渉態度の中でさらに強まっています。中小業者にとっては官公需の「地元優先発注」や不況対策融資など、国内産業を守る規制や制度が廃止されかねないものであり、中小業者の経営を支えてきた施策や仕組みさえ取り払われる危険性があります。
情勢は緊迫してきていますが、今回の「公約違反」でTPPに反対する世論と運動はさらに広がりを見せています。全商連が提起している「TPP交渉から直ちに離脱すること」を求める署名運動に急いで取り組み、安倍政権に突き付けるときです。
全国商工新聞(2013年10月21日付) |