払い切れない国保料(税) 国の姿勢正し生存権守る制度へ
国民健康保険料(税)の納付書が届き始め、「払いきれない」負担に悲鳴が上がっています。
東京23区では、年収300万円の夫婦と子ども2人世帯の国保料が2010年度比で16万円も増えています。大幅値上げの原因は、都が行っていた区市町村の国保財政への独自支援額を320億円から43億円へと激減させたことにあります。
名古屋市では国保料の計算方法が所得から33万円を控除して税率をかけて計算する「旧但し書き方式」へと変更され、国保に2人が加入する申告所得144万円の世帯で32万円超の国保料になる例も出ています。大阪市では、所得税の4倍もの国保料に驚きが広がるなど、負担能力を超える国保料(税)が全国の中小業者を襲っています。
同時に、国保加入者の営業や生活を脅かす徴収行政を見過ごすわけにはいきません。兵庫県篠山市では、滞納を理由にした12年の差し押さえ延べ件数が09年比で24倍を超えています。
また、滞納によって保険証を取り上げられ、病院にかかれず重症化し、命を落とす悲劇も後を絶ちません。
こうした背景には、自治体への国庫補助を削減するなど、国保に対する責任を後退させ続けてきた歴代政府の姿勢と国保加入世帯の所得減少があります。
しかし、安倍・自公政権は社会保障支出を「聖域とせず見直す」と削減の方向を鮮明にし、国保の都道府県単位化を狙うなど、さらなる制度改悪の道を突き進もうとしています。
アベノミクスによる生活破壊が広がる中、応能負担の原則を踏みにじり、生存権さえ脅かす国保を真の社会保障制度へと改善することは急務です。
民商が中心になって国保料(税)の引き下げ署名を広げ、値上げ中止や減額をかちとる成果も生まれています。神戸市内の民商は地域の社会保障推進協議会と力を合わせて国保減免の相談会を開き、「相談者の4割が税・保険料を軽減」という実績を積み重ねています。
国保制度の改善・拡充や負担軽減を国・自治体に迫るとともに、参院選で「社会保障と税の一体改革」を止めさせ、生命を守る政治をめざしましょう。
全国商工新聞(2013年7月1日付) |