「社会保障・税番号」法案 危険な内容知らせ阻止に全力を
今国会に「社会保障・税番号」法案が提出され、審議が始まっています。その狙いは徴収強化と社会保障費の削減を進めることであり、民商・全商連は廃案を要求しています。
同法案は、昨年の国会で廃案になった野田内閣のマイナンバー法案を一部修正し、名称を変えて安倍内閣が「再提出」したものです。
法案では、すべての国民と中長期滞在と特別永住の外国人などに11桁以上の番号と顔写真付きのカードを交付し、これまで別々の番号で運営されてきた年金、医療、介護などの情報を一元化して政府や市町村が管理するというものです。法人には法人番号が付されます。税の分野では税務署に提出する確定申告書や届出書、調書などに番号記載が義務付けられ、所得把握や課税と徴収にも利用するとされています。税金を納めない者は社会保障から排除するという仕組みづくりにほかなりません。
さらに、国民の諸権利を侵害する重大な問題が含まれています。個人情報の流出や「なりすまし犯罪」の懸念、さまざまな理由で、やむなく住民票の住所にいない人や住民票を交付されていない人々は、公的サービスから締め出されるおそれがあることなどです。
米国では、なりすまし犯罪が絶えず、州法で共通番号の利用を制限し、ドイツでは税分野に限定しています。警察・公安による国民監視に利用される危険も指摘されています。
システム構築にも莫大な費用がかかり、初期費用4000〜6000億円、運営費用は毎年数百億円といわれ、これが新たな国民負担となります。
また、当面の利用範囲は、国・地方公共機関での社会保障、税、災害対策などのみとしていますが、付則で「施行後3年を目途として、個人番号の利用範囲の拡大について検討」と規定し、財界が求める民間利用に道を開くことまで検討しています。
莫大な血税を使い、国家による国民総管理や消費税を中心とした権力的課税・徴収体制づくりのための制度を導入させるわけにはいきません。「社会保障・税番号」法案の危険な内容を知らせ、全国から反対の声を結集しましょう。
全国商工新聞(2013年4月15日付) |