経済主権売り渡すTPP 秘密交渉許さず 参加断念迫ろう
安倍首相が15日、TPP(環太平洋連携協定)交渉への参加を表明しました。国の行く末に関わる重大問題で、後発参加国には拒否権もないといわれているだけに無責任の極みです。
TPPへの国民の不安と憤りは急速に高まっています。約9000品目の関税が撤廃されるなら、農業や地場産地への壊滅的打撃は避けられません。加えて、投機マネーによる為替のかく乱に何の歯止めもない中で、日本経済の存立基盤はより脆弱になるでしょう。
非関税障壁の撤廃も影響は計り知れません。食の安全では、すでに輸入牛肉のBSE規制が緩和されてきましたが、今後は遺伝子組み換え食品の表示さえ、障壁とされかねないのです。政府調達や金融サービスの分野でも官公需法や自治体制度融資など中小業者の運動で実現させてきた制度が標的とされる危険性が指摘されています。
「ISD条項」の導入も重大問題です。これは海外の投資家が投資先国との紛争に際し、「国際投資紛争解決センター」に仲裁を申し立てることができるという仕組みですが、紛争事例によれば、アメリカ企業の有機廃棄物埋め立て許可を取り消しただけでメキシコの自治体が、莫大な損害賠償を負わされています。こんな横暴がまかり通るなら、日本で脱原発への政策転換を図ろうにも、核燃料棒の輸入ストップがネックとなり、提訴される事態も生じかねません。
TPPへの参加を強く日本政府に働きかけてきた財界とアメリカ政府の結託により、多国籍大企業は関税を逃れ、労働力の自由化で労働者や下請けの「切り捨て」を加速させようとしています。この真の狙いを国民の前に明らかにするなら、TPPから営業と生活を守る国民共同を発展させることができます。
政府の「秘密交渉」を許さず、「国権の最高機関」である国会への報告義務と情報提供を迫ろうではありませんか。
TPPを許さず、地域に根差した農商工連携で食料自給率を向上させるとともに、官公需での地元優先発注や制度融資の拡充などを通じて地域経済循環を強め、経済主権を確立するたたかいに力を合わせましょう。
全国商工新聞(2013年3月25日付) |