原発「新安全基準」 再稼働前提やめ撤退の決断こそ
東日本大震災、東京電力福島第1原発の事故から2年が経過しようとしています。福島県では放射能汚染により、避難を余儀なくされている人たちが、いまだに15万人余りもいます。
こうしたもとで、政府の原子力規制委員会は原発の「新安全基準」の骨子案をまとめ、国民からの意見募集(パブリックコメント)を行い、7月施行に向け基準案の策定に入ろうとしています。1カ月に満たない意見募集で、財界、電力会社の要望に沿った原発の再稼働、新設の基準をつくるものです。
「新安全基準」は、フィルター付きベント設備などの設置を義務付け、最大規模の津波を想定し、施設をそれ以上の高さに設置するなど、簡単に再稼働できないとの報道もあります。
しかし、骨子案の最大の問題点は、原子炉建屋など重要施設の真下に活断層があっても、原発設備を設置できる判断基準を示したことです。その上、安全対策に猶予期間を設け、基準を満たさなくても再稼働を認めるとしています。
事故が起きた福島第1原発では、その原因もまだ解明されていません。地震によって事故が起きたことも否定できません。東電はこうした事実が明るみに出れば、再稼働が難しくなるとみて、国会の事故調査委員会に、虚偽の報告をして調査を妨害した可能性があります。
日本は世界有数の地震国です。事故の教訓を踏まえずに新たな「安全神話」で原発の再稼働を急ぐなど、とんでもありません。政府が急ぐべきは、事故原因の徹底解明と、被災者救済、原発立地での仕事・雇用の確保であり、原発撤退の決断です。
毎週金曜日に行われている官邸前での抗議行動をはじめ、全国では民商も参加して集会やデモが行われてきました。多くの国民は、事故の経験から原発に依存しない社会を望んでいます。
3月10日には、東京・日比谷公園、国会周辺をはじめ、全国各地で「原発なくせ」の取り組みが行われます。原発事故の被害者救済と連帯し、原発の再稼働も新設も許さない世論を盛り上げ、原発ゼロの社会を実現させることが求められています。
全国商工新聞(2013年2月25日付)
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