国防軍狙う憲法「改正」草案 改憲許さないたたかいに全力を
安倍首相は2月予定の訪米の際に、集団的自衛権を行使できるようにする憲法見直し方針をオバマ大統領に伝える考えであると報道されています。
尖閣諸島や竹島をめぐる中国、韓国との緊張、東日本大震災などの「非常事態」への対処を口実に、自民党は昨年4月に改憲草案をまとめました。今回のアルジェリアでの人質事件を契機に、憲法「改正」をあおる一部マスメディアもあるだけに、政権に復帰した自民党の「憲法改正草案」の危険性を軽視することはできません。
現行憲法は、先の侵略戦争が政府の行為によって引き起こされたものであること、それによって国内外に多くの犠牲を強いたことを深く反省し、「全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免れ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する」(前文)として「平和的生存権」を明記しています。しかし、自民党の草案では「平和的生存権」を全面削除したうえ、9条の2という新しい条文を加え、「国防軍」を創設するとしています。国防軍は、国の安全だけでなく、「国際社会の平和と安全を確保するために国際的に協調して行われる活動及び公の秩序を維持し、または国民の生命若しくは自由を守るための活動を行うことができる」と明記しており、自国が攻撃されなくても同盟国と一緒に武力行使する集団的自衛権の発動や、多国籍軍への海外派兵、海外にいる国民の保護を理由に単独での海外派兵も可能となります。
さらに、軍の機密保護のための法律を定めると同時に、国防軍に審判所を置くと規定しています。軍の機密に関する罪は、軍人や軍属にとどまらず、広く国民の知る権利を侵害するものであり、認めるわけにはいきません。
民商・全商連は憲法の平和的・民主的条項をもとに、中小業者の社会的・経済的地位の向上の運動に取り組んできました。とりわけ「平和こそ商売繁栄の道」を掲げ、平和と民主主義を守る運動に広範な国民と力を合わせてきました。中小業者と国民の営業と暮らしを守るために、憲法改悪を許さないたたかいに全力をあげましょう。
全国商工新聞(2013年1月28日付)
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