生活保護基準引き下げ 貧困と格差を是正した生存権守れ
民主党野田政権は、生活保護を引き下げようと議論を本格化させています。民主党は、国の財政悪化の原因は社会保障費の増大にあると、生活保護基準の引き下げ方針を打ち出し、来年の通常国会で関連法案の決議を狙っています。
政府の審議会では、受給者の医療費の一部負担や、親族の扶養義務の強化など受給抑制の方向を打ち出しています。同時に、生活保護受給者の生活費が受給していない低所得者を上回る「逆転」状態があるとして、支給額見直しについても議論がされています。委員からは「デフレを反映すべきだ」など、物価下落に見合った引き下げを求める意見が相次ぐ状況です。
マスコミも、ごく一部の不正受給例を大々的に取り上げ、受給者を悪者扱いする報道を繰り返しています。
生活保護受給者は、景気の悪化や不安定雇用の増加などで年々増加し、今年7月には戦後最高の212万人が受給する事態となっています。しかも、自治体窓口で受給をさせない「水際作戦」や、受給者に対するバッシング報道などで、受給資格があるのに受給していない人が大量に存在しているのです。
生活保護基準の引き下げは、受給者への影響はもちろん、最低賃金、地方税の非課税基準、介護保険の保険料・利用料、就学援助など受給者以外の国民生活全体に大きな影響を及ぼします。
全国の民商には「無理を重ねて体を壊し、収入が無くなった。保険証がないため医者にかかれない」など、中小業者からの切実な相談が寄せられています。
民主党政権が狙う生活保護基準の引き下げが強行されれば、生存権の最低水準を際限なく引き下げることにつながります。
憲法25条が明記する国民の生存権を保障するのは国の責任です。
政府は大企業の身勝手なリストラなど、貧困と格差の原因こそ是正すべきです。前回08年の改定時は、国民世論の広がりで、引き下げを断念させました。最後のセーフティーネットとしての生活保護の改悪を許さず、消費税増税を実行させない運動が、今こそ求められています。
全国商工新聞(2012年11月5日付)
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