衆院選挙制度改革 小選挙区やめ比例中心の制度に
国会が閉会し、民主党が強行しようとした衆議院の「比例定数削減法案」が審議未了・廃案となりました。選挙制度の変更を政権与党が単独で画策したこと自体、前代未聞でした。内容も一時しのぎの小選挙区定数「0増5減」と比例定数の40削減を組み合わせるなど、ひずみを拡大するものでした。廃案は、議会制民主主義のあるべき姿から見ても当然のことです。
選挙制度の変更は、各党協議の到達を踏まえることが重要です。というのも、民主党を除けば、すべての政党が「現行の小選挙区比例代表並立制が民意をゆがめており、抜本改革が必要」と共通認識を持つに至っているからです。党利党略でなく、「民意を正確に反映する」選挙制度への真摯な検討こそ求められています。
こうした中、見逃せないのが「大阪維新の会」をめぐる動きです。同会は、来る総選挙も意識し「維新八策」最終案をまとめましたが、その中で「衆院議員定数を240へと半減する」と明記しました。さらに「決定できる民主主義」なる名目を持ち出して、改憲発議の要件緩和や9条改定への国民投票の推進さえ打ち出しています。
重大なのは、こんな危険極まりない政治姿勢をとる同会に対して、日本共産党以外の与野党の国会議員や元首長などが、「人気目当て」にすり寄る姿勢を強めていることです。こんな状況では、「小選挙区比例代表並立制の抜本改革」という、せっかくの各党協議の到達も台無しになりかねません。
そもそも日本の国会議員の数は諸外国と比べても多くありません。例えば、衆議院定数は480ですが、人口が約半分のイギリスの下院(衆院に相当)は650です。無駄を削るなら、政党幹部の飲み食いや税金の支払いにまで使われてきた政党助成金こそ真っ先に全廃すべきです。
いま、消費税の増税中止や原発ストップなど、国民の願いが真っすぐに届く国会を実現することが大切です。そのためにも、保守二大政党に有利な小選挙区制を廃止し、「死票」のない比例代表選挙を中心とする制度への改革を求める世論と運動を広げましょう。
全国商工新聞(2012年9月17日付)
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