米国追従政治の暴走やめよ
TPP(環太平洋連携協定)交渉参加に向け、日本政府は、交渉参加国との事前協議を開始しています。
TPPで日本が交渉テーブルに着くためには、他の9カ国の同意が前提となっており、特に米国は議会の承認が必要です。米国との協議で日本側は、「すべての品目を交渉対象とする」と冒頭に表明するなど、交渉参加を認めてもらうためには手段を選ばないという卑屈さをさらけ出しています。
TPPは各国の平等を基礎にした国際協力とは逆に、米国の利益を最優先する経済圏づくりであり、原則としてあらゆる関税をゼロにし、非関税障壁も撤廃するものです。経済や自国民の安全・健康などが破壊されかねないTPPへの参加は、日本の自殺行為です。
米国はすでに日本のTPP参加に向け、関税の撤廃だけでなく、共済・保険をはじめ、医療分野での市場開放、食品添加物や残留農薬の規制緩和などを求めています。
TPPに伴ってはこれまでも、公共工事の入札公開基準の大幅な引き下げや対象となる発注者が区市町村段階にまで広げられるなど、地方自治体の公共事業が外国資本に占有されかねない危惧が指摘されています。
また、住宅リフォーム助成制度や小規模事業者登録制度などの中小業者向け施策も、その存続が危ぶまれています。
もともと、米国がTPPを「ごり押し」する背景には、WTO交渉の破綻、米国抜きに進むアジアFTAの広がり、東アジアにおける中国の影響力の増大などがあります。
オバマ大統領は昨年の一般教書演説などで、米国への輸出に依存する国に、輸出政策の転換と内需拡大を求めながら「200万人の雇用を増やすために、今後5年間で米国の輸出を倍増させる」と言い切りました。
ここにTPPが、米国の、米国による、米国のための貿易協定であることが示されています。
国民・中小業者へ、ほとんど情報開示もしないまま、ひたすら交渉参加をめざし、対日要求を聞いて回るような政治の暴走を許すわけにはいきません。
全国商工新聞(2012年4月2日付)
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