|
|
|
国民の命を守る国保制度に
売り上げ減・低単価・短納期の中でも生きるために商売を続けている中小業者の健康実態が深刻です。全商連共済会の最近の調査では、147人の死亡事例のうち、初診から24時間以内に亡くなった人が15人、2日〜1カ月以内は24人で、60人が半年以内となっており、受診抑制の傾向が顕著に表れています。
日本は、国民健康保険などによる「皆保険制度」によって、健康長寿や乳児低死亡率など、高い医療水準を支えてきました。
しかし、この制度が崩壊しつつあり、制度上存在しないはずの「無保険問題」が深刻です。
全日本民主医療機関連合会が発表した「死亡事例調査報告」では、国保料(税)滞納などで無保険となる。もしくは短期保険証・資格証明書が交付され、窓口負担が払えないなど経済的事由で受診が遅れ、病状悪化から死亡に至った事例が、昨年1年間で、67件に及びました。
自営業者の悲惨な事例も報告されています。
仕事が減り保険料が滞納となり短期保険証になった51歳の男性は、急性膵炎で受診し「がんの疑い」を指摘されましたが、経済的理由によって入院できないまま、病状が悪化し死亡しました。ガス代も払えず止められていたということです。
料飲業の72歳男性は、独居で身寄りがなく、呼吸困難・食欲不振など体調が悪化しても無理をして営業を続けていました。保険証はありましたが経済的理由で受診しないまま、救急車で搬送され、亡くなりました。
「国庫負担削減」で国保料(税)の引き上げが続き、「払いたくても払えない」実情が無念な結果を招いています。一方、滞納者に対する差し押さえ件数は2006年の9万5000世帯から、2012年には18万7000世帯へと倍加しました。
全国の民商では他団体とも共同し、国保料(税)引き下げや減免・分納、差し押さえ撤回を実現させてきました。政府は憲法の原則に立ち返り、「皆保険制度」の充実を図るべきです。社会保障を切り捨てる「社会保障と税の一体改革」など断じて許せません。命を守る運動として、さらに奮闘しようではありませんか。
全国商工新聞(2012年3月19日付)
|
|
|
|
|