議会制民主主義を破壊する暴挙
民主党は衆議院の比例定数を現在の180議席から80議席を削減することを決め、通常国会に法案を提出する構えです。
現在の衆議院の制度は300議席の小選挙区制と全国11のブロックで議席を選ぶ比例代表制から成り立っています。
選挙制度で一番大事なのは、主権者である国民の意思を公正・正確に議席に反映するということです。得票率に応じて議席が配分される比例代表制こそ、民意がストレートに反映される民主的選挙制度です。
小選挙区制は第1位の候補者のみが当選できる制度です。1994年の導入以来、大量の「死票」が生まれ、第1党が4割の得票で7割の議席を独占するという「虚構の多数」によって悪政推進の基盤となってきました。
現在では、民主党以外のすべての政党が「民意をゆがめる現行制度には問題がある」と主張するまでになっています。にもかかわらず、小選挙区制を「0増5減」とわずかな手直しにとどめ、比例定数を大幅削減するという民主党案は、議会制民主主義の破壊そのものであり、絶対に許すことはできません。
さらに重大なことは、定数削減を消費税大増税を押し付ける前提条件としていることです。
野田佳彦首相らは「まず国会議員自ら身を切る」と口にしますが、まったくの「詐欺商法」といわざるを得ません。
議員1人当たりの諸経費は秘書の給料を合わせて年間7000万円であり、80人分削減しても年間56億円にしかなりません。一方、政党助成金は319億円、民主党は昨年1年間に全収入の約83%に当たる171億円余を受け取っており、国民の税金にどっぷり漬かった姿です。削るのは政党助成金の方です。
長引く不況にあえぐ全国の中小業者をはじめ、被災地で懸命に復興に努力し、東電原発事故の賠償に取り組む多くの中小業者の苦境はそっちのけで、自らはぬくぬくと政党助成金を受け取りながら、民意を削減するやり方は、二重三重の裏切りです。
議会制民主主義を守る共同を広げ、定数削減の暴挙を必ず食い止めようではありませんか。
全国商工新聞(2012年2月16日付)
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