融資要求に応える大運動を
東日本大震災や東京電力福島第1原発事故、タイの洪水、欧米の経済混乱と異常円高など、激動のなかで年末を迎えています。
大企業は、法人税減税が継続されているにもかかわらず、生産拠点を海外に移し、中小製造業者の受注単価は減り続けています。全商連付属・中小商工業研究所の今年下期営業動向調査では、「3・11後、明らかに仕事が減った」「原油高、円高で業界内も混沌としている」状況です。
「悩んでいない中小業者はいない」といわれますが、なかでも年末の資金繰りをめぐる要求の切実さは際立っています。
この間、民商・全商連は、金融円滑化法やセーフティーネット保証の全業種指定を延長させ、数知れない中小業者の危機を救ってきました。
「せめてゼロからのスタートを」という被災業者の願いは、阪神・淡路大震災以来の粘り強い運動のなかで、「二重ローン」救済策へと実を結び、金融機関や信用保証協会から債権を買い取り、返済の凍結・免除、新規融資への道を切り開きました。
年の瀬を前に各地で行われている自治体や金融機関との交渉・懇談を通じて、「条件緩和や住宅ローン金利引き下げを金融機関に要請すると県が約束」、「信用保証協会が税金を滞納していても分納していれば柔軟に対応すると回答」、「信用金庫が全力で業者を支えると表明」など、前向きな対応を引き出しています。
いま、問われているのは、運動によって実現してきたさまざまな施策や積極姿勢をどう実利実益に結びつけるかです。
住宅ローン金利の引き下げを拒否してはばからない巨大都市銀行や、過去の「負の実績」をあげつらって、融資の道を遠ざける日本政策金融公庫の姿勢は目に余ります。また、それを是正できない行政の責任も重大です。
地域で果たしている中小業者の多彩な役割と緊急切実な融資要求を金融機関や政府・自治体に示しつつ、「融資は権利」「融資実現で年末を乗り越えよう」の大運動に立ち上がろうではありませんか。
全国商工新聞(2011年12月5日付)
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