民意ゆがめる選挙制度に反対
いま、民主、自民両党は多様な民意、国民の声を国会から締め出す比例定数削減の動きを強めています。
とりわけ今回は、1票の格差是正を口実に、「政も官も無駄を削り、身を切る」などとして、「復興増税」や「社会保障と税の一体改革」で狙う消費税増税と絡めて主張しているのが特徴です。
選挙制度で一番大事なことは、主権者である国民の意思を公正・正確に議席に反映させることです。小選挙区制をそのままにし、民意を反映する比例代表制を削減することは、議会制民主主義を破壊する暴挙です。
衆院議員は1選挙区で1人の議員を選ぶ全国300の小選挙区と、全国11ブロックで合計180人を選ぶ比例代表で選出されています。参院議員は全国1区の比例代表と都道府県単位の選挙区選挙で選ばれています。
得票数に応じて議席が配分される比例代表こそ、国民の意思が国会にストレートに反映される民主的な選挙制度です。小選挙区制は第1位の候補者だけが当選できる制度で、94年の制度導入以来、大量の「死票」で、民意とかけ離れた「虚構の多数」が国会につくられ、政治の劣化現象の下で構造改革などの悪政推進の基盤となりました。
比例代表に的を絞った議員定数の削減は、無駄を削るどころか少数政党を排除し、「二大政党」の党略的延命と独裁体制づくりの土台となります。そして、政府や大政党の思うがままの政治がまかり通ることになってしまいます。
また、無駄を削り、身を切るというならば、320億円にも及ぶ憲法違反の政党助成金こそ真っ先に廃止すべきです。
全商連はこれまでも、政治革新と民主主義擁護の観点から比例定数の削減に反対し、小選挙区制の廃止を求めるなど公正な選挙制度の実現をめざす運動に取り組んできました。
野田首相が、消費税増税やTPP参加、米軍再編、原発の再稼動・輸出などと一体に、「国会議員定数削減」に並々ならぬ執念を燃やしているだけに、比例定数削減を許さない世論づくりがこれまでにも増して重要になっています。
全国商工新聞(2011年10月31日付)
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