TPP参加問題 断固阻止し健全な内需拡大を
いま、野田政権は11月のアジア太平洋経済協力(APEC)首脳会議に向け、TPP(環太平洋連携協定)参加の検討を強引に進めようとしています。
9月21日の日米首脳会談で、野田首相は「早期に結論を得る」とオバマ大統領に「公約」しました。10月7日には経団連など日米経済団体主催のシンポジウムで北神圭郎経産政務官が「早期決断」を強調。政府の「国家戦略会議(仮称)」はTPPを最優先課題にすると表明しています。
TPP参加は、国民生活を破壊するものです。
例えば、「例外なき関税の撤廃」です。広くアジアに生産拠点を持つ多国籍大企業には、莫大なコスト削減など利益につながるものです。しかし食糧を支える農林水産業でいえば、震災被災地への大きな打撃となり、しかも40%弱に落ち込んだ日本の食料自給率を際限もなく下落させて、国家の「食料主権」さえ奪われかねません。
官公庁による物品や事業の「政府調達」も被害は甚大です。
私たちはこの間、官公需法や地元優先発注の制度を守る運動を進めてきました。TPPに加入すれば、「政府調達」全体の奪い合いが米国などの外資を含め激化します。結果的に中小業者が受注できる官公需・公共事業はさらに減り、下請けに対する単価たたきも広がる危険が高いのです。
「金融・保険での市場開放こそが、TPPでの米国の最大の狙い」という指摘もあります。実際、米国通商代表部は「外国貿易障壁報告書」で農協共済を不公平と名指しています。共済と保険を同一視し、保険として分離・独立させ、その資産を新たなもうけ口にしたいのです。
いま、野田政権の暴走に対し、TPP参加を断固阻止するため、農協や主婦連も含めた国民共同が広がっています。
民商・全商連は、先に発表した日本版・小企業憲章(案)で、農林水産業との連携や、公正な取引ルールの確立、健全な内需と地域経済という政策方向を掲げました。この実現を迫るたたかいを、TPP断固阻止の共同行動とも結び、大きく広げようではありませんか。
全国商工新聞(2011年10月17日付)
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