国民生活を破壊する暴挙許すな
民主党政権は、9月に予定される日米首脳会談で、TPP(環太平洋連携協定)交渉への参加の姿勢を強めており、予断を許しません。
TPPとは、すべての関税の撤廃と関税以外の規制(非関税障壁)の撤廃を行う、究極の自由貿易協定です。
これに参加することによって、安い農産物の輸入攻勢が強まります。国内の農林水産業は経営が成り立たなくなり、農水省試算でも4.1兆円の農産物、4200億円の水産物の生産が減少し、食料自給率は現在の40%から13%にまで低下します。世界的な食糧危機がいわれる中での自給率の低下や規制緩和は、食の安全が脅かされ、国の存続さえ危うくさせるものです。
中小業者にとっても重大です。各地の自治体に要求して実現してきた「中小業者支援」の制度が、「公正な競争」の名の下に一気に突き崩される危険性さえあります。
金融では、中小業者に必要な資金を融通する自治体独自の低金利の制度融資などが外資の「参入規制」とみなされる可能性があります。制度融資が廃止され高金利が横行する事態になれば、中小業者の命綱を断たれます。
政府調達・公共事業も自由化され、住宅リフォーム制度、小規模工事希望者登録制度、地元優先発注など、中小業者の仕事おこし制度は、外国企業への「差別」とみなされ、廃止の圧力にさらされます。
保険分野でも助け合いの自主共済つぶしがいっそう進行し、医療の分野でも「保険証一枚で、同じ医療が受けられる」国民皆保険制度が崩壊させられる危険があり、幅広い各団体からも問題点が指摘されています。
東日本大震災は、中小業者が果たしている役割を再認識させ、いっそうその力を発揮して持続可能な地域経済・社会をつくっていくことが緊急に求められていることを示しました。
全国商工団体連合会をはじめ広範な団体が呼びかけた「食、くらし、いのちを守りたい TPPはいらない!8・27緊急集会」を跳躍台に、TPP参加阻止の世論を大きくし、中小業者が役割を発揮できる社会の実現へ奮闘しようではありませんか。
全国商工新聞(2011年8月29日付)
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