学び広げ中小業者主役の社会に
中小企業を「社会の主役」と位置付ける中小企業憲章が閣議決定され、1年が経過しました。
しかし、いま、民主党政権がめざしているのは、この憲章に基づく政策展開ではありません。社会保障の切り捨てと消費税増税、TPP(環太平洋連携協定)への参加、地場産業の集約化と道州制への移行、原発依存のエネルギー政策の継続、沖縄・辺野古への新基地建設押し付けなど、構造改革路線を徹底し、財界とアメリカに奉仕する国・地方自治体づくりです。
東日本大震災と東電福島第1原発事故の発生後、被災地では再建可能な一部の優良企業を救済し、そうでない中小業者を淘汰する動きが強まっています。
また、各地で「3次、4次下請けの仕事がなくなった」「飲食店の売上は40%減、観光業も最悪」など、中小業者の危機的状況が広がっています。
構造改革のいっそうの推進を許すのか、中小業者が展望の持てる新しい時代をつくるのかをめぐって激しくせめぎ合う下で、全商連は「日本版・小企業憲章(案)」を発表しました。
この憲章案は、憲法が規定する民主的諸権利を踏まえています。そして、日本の特徴である多様な小企業・家族経営の存在意義と役割を明らかにし、その営業の自由が実質的に保障される経済社会の建設をめざすものです。ここに、「日本版」「小企業」憲章と呼ぶゆえんがあります。
情勢が厳しく、多くの中小業者がどうすればいいのか模索しているだけに、提案されている内容とめざしている方向に共感が寄せられています。
全商連は、2004年の第46回総会で小企業憲章案の制定を展望して以降、地域経済振興条例づくりの運動を発展させてきました。また、中国、欧州への視察を通じて、小企業支援を健全な経済の発展に位置づける新たな国際的な潮流があることも明らかにしてきました。
全商連創立60周年という節目に、この提案ができるのは、「民商・全商連運動の基本方向」に基づく全国的な運動の実践や創造と探求があるからです。
ここに確信を持ち、この憲章案を深く学ぶとともに、旺盛な対話を繰り広げ、中小業者が主役の経済社会を築く力にしていこうではありませんか。
全国商工新聞(2011年7月25日付)
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