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  トップページ > 方針・決議のページ > 主張 > 全国商工新聞 第2975号 5月23日付
 
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震災に乗じた改憲は許せない

 東日本大震災の被害に乗じ、「改憲なしでは復興はできない」という乱暴な見解で、民主・自民両党の改憲推進の国会議員が衆参憲法審査会の始動へ活発に動き出しています。
 民主党は2日、参議院で改憲原案の審査・発案権限をもつ憲法審査会の定員や議事のルールを定める規程の策定を提案。国会に上程し採決しようとしています。
 日米同盟「深化」と消費税増税など「構造改革」推進を強める菅内閣は、自民党との「大連立」も視野に審査会始動で国会運営の協力を取り付けようとの考えです。
 4月28日に行われた新憲法制定議員同盟の大会では、鳩山由紀夫前首相が顧問に復帰。あいさつでは「国難のとき、国家の緊急事態を総理が宣言できる憲法にすべき」と述べました。自民党の大島理森副総裁も「今年、憲法改正に全力を挙げる認識だ。民主党内をまとめてほしい」と呼びかけました。
 さらに、自民党は憲法改正推進本部役員会で、「非常事態条項」を新憲法草案に盛り込むこととしました。
 新たな改憲議連の動きも活発です。改憲手続きを定めた憲法96条の要件緩和(3分の2を2分の1に)を狙って、民主・自民議員有志で超党派の議連をつくろうというものです。こうした動きをてこにした憲法審査会の始動は、「震災」を口実にどさくさ紛れに改悪に突き進むもので断じて許せません。
 いま政治に求められていることは、日本国憲法を生かして真の復興を図ることです。大地震・大津波と原発事故被害に見舞われた中小業者や地域住民は、今なお避難生活を余儀なくされ生活と営業再建もままならない状況です。憲法では、国民の「幸福追求」の権利は「最大の尊重を必要とする」(13条)、「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」(25条)と明記しています。被災者一人ひとりの生活基盤を回復し、自立した再出発を可能にするための公的支援を抜本的に強めることこそ、政治の責任です。
 大震災、原発事故の「非常事態」に対応できない責任を憲法に求め、改憲策動に動き出すなどとんでもありません。憲法審査会の始動を許さない世論と運動を大きく広げましょう。

全国商工新聞(2011年5月23日付)
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