消費税増税などもってのほか
大震災から救援・復興を図る上で、財源をどうするのかが国政の焦点になっています。
大手新聞は、政府が消費税について「大震災の復興財源を確保するため、早ければ2012年度から3年間限定で3%引き上げ、8%にする方向で検討に入った」と報道しました。
また、政府の「復興構想会議」では、五百旗頭議長が消費税を念頭に、「国民全体で負担する震災復興税」の創設を打ち出しました。枝野官房長官は記者会見を通じて、政府・民主党内で復興財源の確保を目的に、消費税増税が検討されていることを認め、玄葉国家戦略担当相も、消費税の増税を前提にした発言を繰り返しています。
しかし、消費税の増税は、震災で最も苦しんでいる被災者にも重くのしかかるだけでなく、経済活動にも大きな影響を与え、復興の障害になりかねません。いま急がれるのは、住むところもお金もなく、着の身着のまま被災し、避難所などで支援を待つ被災者の生活再建です。その時に、いきなり消費税の増税などもってのほかです。
復興財源には、2兆円に上る大企業・大資産家向け減税を中止するとともに、米軍への「おもいやり予算」の廃止、10年間で5500億円もの巨費を投じる大型港湾建設の転換、総額320億円にも上る政党助成金の撤廃などを充てるべきです。
こうしたなかで、注視する必要があるのは、「税と社会保障一体改革」の名で消費税の増税を狙う「集中検討会議」の動向です。
会議の実質的議長である与謝野経済財政担当相は、消費税増税案を予定通り6月に示すことをあらためて表明しました。同会議のなかでは、「消費税を上げて、当面は復興に使いながらも、時間をかけて社会保障に変えていく」などと危険な発言が飛び交っています。
民商・全商連は、消費税が導入された時から、低所得者ほど負担が重い最悪の不公平税制であることなど、消費税が持つ本質的な性格を明らかにし、廃止を求め増税反対を掲げて運動に取り組んできました。
消費税が被災者にも容赦のない過酷な税金であることを多くの国民に知らせ、「復興財源に消費税を」という主張を打ち砕こうではありませんか。
全国商工新聞(2011年4月25日付)
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