全国民の力合わせ復旧・復興を
東日本大震災と東京電力福島第一原発の爆発・放射能漏れ事故は日本経済に重大な打撃を広げています。
世界の3大漁場の一つである三陸沿岸の壊滅的被害は、遠く四国や九州の鮮魚店の仕入れにも影響を与え、紙やコンパネ、ビールなど、一定の国内シェアを持つ企業が受けた生産設備へのダメージは、供給不足と価格上昇の一因となっています。
また、東北地方の自動車や電子部品関連など、高度な技術を持つ企業が操業できなくなるなかで、部品調達拠点の海外移転が懸念され、失業者の増加や原発事故による電力供給不足が経済活動と国民生活に暗い影を落としています。
影響は全国の中小業者にも及んでいます。各地での実態の聞き取りやアンケート調査には、「当分休業状態。給与が払えない」「自粛ムードでタクシー・旅館・ホテル・宴会のキャンセルが相次いでいる」「仕事はあるのに資材が入らず工事できない」といった声や、「借り入れの返済ができない」「税金を納められない」など、SOSのメッセージが寄せられる事態です。
それだけに、東北地方の復旧・復興を全国民的課題としてとらえる必要があります。中小業者の再建なくして地域の復興はないという立場に立ち、中小業者の廃業を食い止める施策が必要です。働く場のないところで人は生活できません。困難な中で懸命に雇用を維持する中小業者を幅広く対象とする社会保険料の負担軽減策は必須です。
また、大震災で重大な損失をこうむった住民・中小業者の債務を免除・免責し、「ゼロからのスタート」を保障すべきです。宮城県の若生副知事はこのことを国に要望したと語り、日本弁護士連合会の宇都宮会長は、「平成の徳政令を」と提案しました。中小業者の店舗や工場の再建を対象にした直接支援についても岩手県宮古市の商工会議所幹部が賛意を表明するなど、全商連の要求と主張は大きな世論となりつつあります。
被災地と全国の中小業者が力を合わせ、要求運動と組織拡大に立ち上がることが大切です。震災復興と経済危機打開の運動を結び、「困ったときこそ力になる」という民商の本領を発揮し、中小業者の大同団結を大きく広げようではありませんか。
全国商工新聞(2011年4月25日付)
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