中小業者への抜本的な支援こそ
臨時国会の開会から1カ月余が過ぎ、経済危機の打開に向けた論戦が本格化しています。
注目したい争点の一つは、菅内閣が打ち出した「大企業減税」の是非です。大企業は手元資金だけでも52兆円に及ぶ「空前の金余り」状態で、いくら大企業の収益を保障しても、内需は喚起されないことがはっきりしているからです。例えば、日本共産党の佐々木憲昭議員が10月26日の衆議院・財務金融委員会で「法人税の負担が減っても、その分、増えるのは、内部留保や株主配当で、賃金、下請け単価は下がり続けている」と、大企業の実態を指摘しました。野田佳彦財務相は「法人税率を下げて本当に効果があるのか、議論の余地が相当ある」と認めざるを得ませんでした。
注目したいもう一つは、大企業の巨額の内部留保を経済全体に還流させる立場から、最低賃金の引き上げと結び、「賃金改善奨励金」として中小企業への支援策が審議されていることです。その予算はわずか62億円程度で、アメリカの8800億円やフランスの2兆2800億円と比べることすら恥ずかしい規模です。しかし日本共産党の大門実紀史議員が10月25日の参議院予算委員会で「こうした政策こそ、規模・中身の思い切った充実を」と要求すると、菅直人首相も「大変、魅力的な提案」と、その有効性を認めました。
異常円高やデフレ危機の克服には、家計を直接応援し、内需を活発にすることで地域に健全な経済循環を作り直す政策が不可欠です。その意味ではこの間、各地の民商の奮闘もあり、従来の発想としてあった「個人の資産形成に資する政策はダメ」という限界を乗り越えて、「家計に良し、内需に良し、経済循環に良し」の住宅リフォーム助成制度が相次いで創設されていることは貴重な成果です。
今日の経済危機を生き抜く上で、既に閣議決定されている「中小企業憲章」も文言だけに終わらせず、とりわけ小企業への積極的評価と位置づけを生かし、自営商工業に対する抜本的な支援策を、省庁横断であらゆる業種に適用させる立場から迫ることが大切です。
世論と運動が政治を動かします。内需と地域経済振興と公正な取引ルールの確立に、ともに奮闘しようではありませんか。
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