高齢者の差別医療継続を許すな
厚生労働省は7月23日、高齢者医療制度改革会議を開催し、後期高齢者医療制度に替わる「新制度」の中間とりまとめ案を示しました。約8割の高齢者を国民健康保険(国保)に加入させて、現役世代と高齢者を別勘定にするなど、後期高齢者医療制度にも増して、高齢者に差別医療を強いる内容となっています。
民主党が公約した制度の「廃止」を先送りした上に、差別や給付抑制の仕組みの継続は、国民・中小業者に対する裏切りであり、断じて許すわけにはいきません。
同案では、75歳または65歳以上の高齢者は都道府県単位、それ以下は市町村単位の財政運営とし、別勘定の対象を65歳以上とするか、75歳以上とするかは引き続き検討するとしています。その上で、高齢者の医療給付の1割を高齢者自身の保険料で賄う方針です。
高齢者医療の財政を別勘定にして一定割合を高齢者の負担にするのは、後期高齢者医療制度と同じ仕組みです。これでは、高齢化の進展や医療技術の進歩などで、医療費が増えるにつれて保険料が際限なく上がることになります。
医療における高齢者差別の根底には、「負担と給付の明確化」、つまり給付を受ける高齢者自身が負担についても責任を負うべきだという「受益者負担」主義があります。しかし、公的医療は本来、国の責任ですべての国民・中小業者に必要な医療を保障するための制度です。「必要な医療を受ければ負担増、いやなら医療抑制」という二者択一に追い込む「受益者負担」主義は、公的医療に相入れません。社会保障を拡充して、国民の命と健康を守るという憲法に基づく国の責任を放棄するものです。
後期高齢者医療制度導入前の老人保健制度は、高齢者が現役世代と同じ医療保険に加入することができ、差別や給付抑制はありませんでした。老人保険制度に戻した上で、高すぎる患者負担を軽減すること、減らされた国保への国庫負担を復元して、国保料(税)を引き下げることこそ求められています。
民商・全商連は、これまでも後期高齢者医療制度の即時廃止や国保制度の拡充の要求を掲げ署名運動を推進してきました。
民主党政権が、来年の通常国会に高齢者医療関連法案の提出を計画している今こそ、「高齢者への差別医療はやめよ」の世論を大きくすることが重要になっています。
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