国会軽視の「改革」は中止せよ
民主党は、「官僚依存の打破」「政治主導の確立」などを口実に、「国会改革」関連法案の今国会への提出を強行しました。
国会の役割を低下させ、解釈改憲への布石となる内容が柱となっており、断じて、許すわけにはいかないものです。
法案が持つ第1の問題点は、議院規則で、細目的技術的な問題について調査する必要がある場合、官僚の答弁を許すとしている政府参考人制度の廃止です。しかし、行政の内部事情などの質問に対して、もし制度が廃止されれば、まともな答弁がされなくなり、官僚の腐敗や行政組織の問題などについて調査ができなくなりかねません。
同時に法案では、政府参考人制度の廃止と合わせ、任意的に開催される「意見聴取会」を設けて官僚の意見を聞くことができるとしています。ところが、この「聴取会」は、「政治家同士の法案審議の場とは別」とされています。これでは、官僚の意見は法案審議には反映されず、聴取会の意味はありません。
第2の問題点は、政府特別補佐人からの内閣法制局長官の排除です。国会法にある政府特別補佐人の中には、内閣法制長官が入っていますが、これを削除するというのです。
これまで海外での公然たる武力行使などは、現憲法が禁じていると答弁してきた内閣法制局長官を、審議の場から排除することで自衛隊が海外で自由に武力行使ができるようにすることを狙っているのです。
民主党は、政権について以来、「国会改革」に着手し、実行してきました。例えば、与党議員の議員立法、国会質問への制限です。また、幹事長室に陳情窓口を一本化することなども行ってきました。一方で、大臣、副大臣、政務官という政務三役の拡充をめざしています。これらは、党内の議員の抵抗を抑え、党指導部に権力を集中させる。また、首相をはじめとした内閣の権限を拡大し、野党や国民の抵抗を封じ込めて強権的な政治を実行していくための布石であることは明瞭です。
今回提出された法案も、こうした動きの流れのなかにあります。
いま、国会に求められるのは、憲法を生かすことを前提に、国民・中小業者の負託に応え、国民のための審議を行うことです。
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