主張=後期高齢者医療制度は廃止せよ
国民を75歳という年齢で区切って、差別的な医療制度に囲い込む後期高齢者医療制度の実施から3年目に入りました。命と健康を守る医療保険制度を、高齢者の「うば捨て山」にした同制度によりますます被害者を広げています。
民主党は、昨年の総選挙で後期高齢者医療制度の廃止を公約し、連立政権の合意にも掲げました。ところが、政権が発足すると「新しい制度」をつくる13年度まで先送りする方向に転換しました。まさに公約違反です。
同制度は、高齢者にとって重い負担となっている保険料を、2年ごとに値上げする仕組みです。民主党政権は、国庫補助を実施して負担増を抑えるといってきましたが、実際には地方任せにしたために、多くの都道府県では保険料が引き上げられます。
すでに、保険料を滞納して保険証を取り上げられ、有効期限を縮めた短期保険証を発行された高齢者は、全国で2万8000人を超えています。期限が切れ、新たな保険証が発行されなければ、無保険状態となり、医療を受ける権利を奪われることになります。
また、厚労省が検討している「新しい制度」なるものは、現制度の75歳の区切りを65歳に引き下げて国保に加入させ、現役世代とは「別勘定」にするというとんでもないものです。
疾病の危険性の高い高齢者の勘定を別にして囲い込み、際限のない負担増と差別医療を押し付ける点では、区切りを引き下げた分だけ、苦しむ高齢者を増やし、現制度の理不尽さを拡大するだけです。絶対に許すことはできません。
根本的な解決には、後期高齢者医療制度と合わせ、都道府県ごとに医療費削減を競わせる医療費適正化計画や「特定健診・特定保健指導」(以下、特定健診)の根拠となっている高齢者医療確保法の枠組み全体の見直しが必要です。
経営危機と一体で中小業者の健康破壊が進行する下で、特定健診は、病気の早期発見・早期治療を遠ざける結果にしかならず、その改善は切実さを増しています。後期高齢者医療制度の廃止は、医療費削減計画を撤回させ、特定健診を老人保健法に基づく基本健診に戻すことにもつながります。
鳩山政権に対し「公約守れ」の声を結集し、「後期高齢者医療制度を直ちに廃止せよ」の運動を大きく広げようではありませんか。
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