差別なく高校授業料無償化を
今国会で、「公立高等学校に係る授業料を不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律」(高校無償化法案)が審議されています。高校教育の無償化を求める国民の粘り強い運動に押されたもので、学費無償化は、教育の機会均等を保障する上で積極的な意義を持っています。
経済危機が雇用と生活を破壊する下で、多くの国民がこれ以上教育費を負担することは限界です。頼みの公的奨学金制度も74%は負担の大きい有利子貸与で占められているのが現状です。卒業後、安定した雇用が保障されないなか、学生の多くが進学をあきらめたり、退学を余儀なくされる状況も生まれています。
法案は、公立・私立高校、専修学校および各種学校を対象とし、公立高校の授業料は無料にする方向です。高校生の3分の1を占める私立高校生の支給限度額は、公立高校の授業料基準とし、「就学支援金」(世帯年収に応じ、11万8800円〜23万7600円)を支給する内容です。
高校生、保護者、教職員など国民の声を反映して、都道府県ではこれまで私立高校生の授業料を助成してきました。ところが、無償化の流れを受け、愛知県では68億円(09年)から32億円へと授業料補助を削減。1人1万円分に当たる額です。「これでは私立高校の無償化は進まない」と怒りの声が上がっています。
大阪府、広島県、東京都などは私学授業料減免制度の予算を増額しています。公立私立の格差を広げるのではなく、「就学支援金」に現行の私学授業料助成制度を増額し、実質無償化を実現することこそが求められています。
本来、朝鮮学校なども対象になります。ところが、これを除外する動きが出ています。子どもの権利条約では、出身国の言語や価値観を伝える教育を保障し、自分の文明と異なる文明も尊重を育成することを規定しています。拉致問題などをめぐり、いわれのない偏見と差別を受け、教育行政に新たな差別を持ち込むことになります。国際人権規約にも逆行するもので、特定の国との関係だけを理由に排除することは許されません。
安心して子育てができ、未来を担う子供たちが夢や理想を持って学ぶことができる社会を実現するために「教育費は無償」の世論を広げていきましょう。
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