民意生かし普天間基地は撤去を
米軍新基地建設問題が最大の争点になった沖縄・名護市長選は、新基地建設に反対する稲嶺進氏が当選し、名護市民は日米両政府に「基地は受け入れられない」との審判を下しました。稲嶺氏の勝利は、名護民商をはじめとする革新勢力と広範な保守層との共同でたたかわれた結果です。
普天間基地をはじめ沖縄の多くの基地は、戦後米軍が占領して住民を収容所に入れている間に土地を奪って建設したものです。沖縄県民は60年以上も基地が集中するなかで暮らす異常な事態が続き、基地の撤去を望んできました。
世界一危険な飛行場といわれる普天間米海兵隊基地の辺野古への移設をめぐっては、名護市民は97年に行われた市民投票で、受け入れ反対の意思表示をしました。その後、3度の市長選では、いずれも受け入れ容認派の市長が当選しましたが、連日の座り込みなど住民たちの体を張った運動で基地建設を阻止してきました。名護民商・沖縄県連は「平和でこそ商売繁盛」と基地移設反対運動を進め、市民の共同を広げる努力を追求し大きな役割を果たしてきました。
これまで県北部振興策などの事業で600億円以上が名護市に投入されました。しかし公共事業は特定の企業とゼネコンがもうかるだけで、高い失業率、低い市民所得、倒産の続出、空き店舗の増大などに見られるよう、その波及効果はまったくの期待外れでした。一方、市民税・国保税・固定資産税などは強権的に取り立てるというゆがんだ市政の姿が、民商などの運動によって具体的に明らかになりました。
鳩山政権は市長選で示された民意を受け止め新基地建設を断念するべきです。地元紙は「日米両政府とも前政権が合意した名護市辺野古への普天間移設計画をごり押しできない」と指摘しています。ところが、鳩山政権は辺野古への新基地建設という現行案を排除しないと予防線を張っています。5月末までに移設先を決定する方針ですが、事実上不可能です。
日米安保改定50年の節目の年に、「基地のない沖縄・日本」をめざし、軍事費や米軍への「思いやり予算」を削減するとともに、国民・中小業者の支援策で新しい雇用創出や経済発展をめざすことが重要です。名護市長選の勝利を受け、普天間基地の無条件即時撤去の世論をさらに広げましょう。
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