後期高齢者医療制度は即廃止に
鳩山新政権が発足し1カ月半が過ぎました。「後期高齢者医療制度」の廃止は、総選挙で国民が強く望んでいたものとして、一刻も早い実現が求められています。
しかし、厚生労働省の概算要求では同制度について、来年度はさしあたり軽減措置を続け、廃止までに数年かける方針だと報道されています。
75歳以上の人を別建ての制度に囲い込み、医療内容も制限する制度は世界に例がなく、昨年4月の導入以来、高齢者だけでなく、多くの国民が怒りを示してきました。政府は国民の声を真摯に受け止め、即刻廃止の決断を下すべきです。
制度の存続で問題点も拡大します。2年ごとに人口増加や医療費増加に応じて保険料が値上がりする規定のため、すでに来年4月に向けて東京都の広域連合は、保険料が単身者で年9600円、夫婦2人で1万2400円の引き上げになると試算しています。
厚生労働省と長妻厚労相は「直ちに廃止すれば混乱する」とか、「後期高齢者医療制度導入前の『老人保健制度』に戻せば一部の負担が増える」などと言います。しかし昨年4月まで実施され、国民に問題のなかった制度に戻すのに、特別の困難はありません。負担が増えるのであれば、そこへの支援を増やせば対応できます。実際、昨年5月、当時の野党4党が参院に提出した廃止法案では「負担が増える場合は国が手当てする」とし、同4月の野党合意でも「直ちに廃止して、いったん老人保健制度に戻す」としていました。
これらの点からも、長妻厚労相の言い分は問題の先送りでしかありません。なにより年齢による差別は許さないという原点に立ち、社会保障制度の再建に踏み出すことが国民の願いに応える道です。
そもそも、日本のように医療費に2割も3割もの自己負担があるという国が異常です。ヨーロッパでは、外来も入院も、医療費は無料が当たり前です。
民商・全商連は現在進めている「地域を支える中小業者の支援を」の請願署名でも、「直ちに高齢者医療制度を廃止すること」「子どもと75歳以上の高齢者の医療費を無料にすること」を求めています。
署名を旺盛に進めるとともに、中小業者と国民の切実な声を国会と政府に届け、制度の廃止を必ず実現しようではありませんか。
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