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大企業・金持ちへの適正課税を
世界的な経済危機の脱出策として、欧米諸国では、庶民減税と富裕層への適正課税を柱とする新たな「税制改革」が広がっています。
アメリカのオバマ大統領は就任早々、「米国再生・再投資法」に勤労者一人当たり約7万6000円の緊急減税を盛り込むとともに、初の「予算教書」では、所得税の最高税率引き上げや配当所得課税の強化、公的保険実現のための富裕者適正課税を方向付けました。さらに5月には、巨額の利益を租税回避してきた多国籍企業の姿勢を正すべく、約20兆円を見込む国際企業課税の強化を打ち出しました。
こうした前進的な変化は、欧州でも顕著になっています。例えば、イギリスで付加価値税の税率引き下げが実施されたのに続き、富裕層寄りとされてきた保守党でさえ、高額所得者への現行40%の所得税率を50%に引き上げよと主張しています。
欧米の「税制改革」では、貧困と格差を広げた「構造改革」への反省から、「大金持ち・大企業減税」を元に戻し、税制の所得再分配機能を再生することが、共通の基本姿勢となっているのです。
では欧米に比べ、私たちが暮らす日本の「税制改革」はどうでしょうか。総選挙が目前に迫っていますが、あらためて日本税制の現実の姿を正確に見ておく必要があるでしょう。
例えば、日本の「研究開発減税」は、その92・9%が資本金10億円以上の大企業に活用され、中小企業は恩恵に浴していません。3年延長が強行された「株式等の売買減税」も、わずか10人の100億円超の高額所得者に対し、183億円も減税されていることが国会審議で明らかになっています。さらに09年度税制「改正」では、付則に法人税減税と消費税増税が明記され、また「中期プログラム」に至っては、「社会保障財源」や「財政赤字の穴埋め」に消費税を主要な財源とすると方向付けられているのです。
大切なのは、欧米における「税制改革」の前進面に学んで、貧困と格差の「構造改革」ときっぱり手を切り、「応能負担・生活費非課税」という「あるべき税制」の基本に立ち返ることです。
この日本でも、大資産家・大企業への適正課税で、消費税増税によらない財政再建と社会保障充実に道を開くよう、大いに要求してたたかおうではありませんか。 |
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