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主張=地域振興へ自治体対策の強化を
第29次地方制度調査会は16日、国が主導してきた市町村合併の終結を答申しました。
かつて3200以上あった市町村は、この約10年の間に半数近い1775までに減らされてきました。ここに至って利益誘導で地方交付税の削減緩和やハコモノ建設用の特例債発行を認めた「新合併特例法」を来年3月末で打ち切り、いわば「平成の大合併」の幕引きを図るというわけです。
この間の市町村合併は、表向き「地方分権の受け皿となる基礎自治体の基盤強化」を名目としたものでした。しかし現実には、介護や保育、医療の各分野で措置制度が廃止・形骸化されるなど、自治体の責務である住民福祉が相次いで後退させられました。また自治体リストラや地方議員の削減も続き、結果として住民の声が行政に反映されにくくなり、地域間格差も広がるなかで、過疎・周辺地域の将来不安が高まる事態です。
市町村合併を通じて、財界・大企業に有利な大型開発を、効率的に進める体制が進められたことも見逃せません。
例えば、公共工事の受注割合でも、2000年度で約1404億円あった個人業者向け発注総額は自治体合併が進むなか、7年後にはわずか15億円へと徹底して削減されました。一方で、資本金5千万円以上の大手ゼネコンの受注占有率は60%から64%へと増え、総額も6兆円を超えているのです。
総じて自治体合併の狙いが、政府には「安上がり」で、財界・大企業には「使い勝手のよい」自治体づくりにあったことは明白です。
こうしたなか、5日には地方分権改革推進委員会が、自治体の条例制定に際し、国として法律の「義務付け」や「枠付け」をどう行うかを検討した「中間報告」を公表しました。その内容は未だ抽象的ですが、自治体への権限移譲の根幹にかかわるだけに、今後の推移を注目する必要があります。
大切なのは、市町村への権限移譲を住民福祉の発展と自治の拡充に役立てることです。地域間の格差拡大や国民の生存権の形骸化を許すことはできません。
いま、地域経済の振興にも、違法・不当な徴収行政を許さないたたかいにも、条例の積極活用が不可欠なだけに、地域に根ざす中小業者の特性も生かし、自治体対策を大いに強めましょう。
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