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後期高齢者医療制度は撤回を |
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来年4月から始まる後期高齢者医療制度の実施を前にして、280を超える地方議会で、制度の見直しなどを求める意見書が可決されていることが、中央社会保障推進協議会などの調査で明らかになりました。
国の高齢者いじめの政策に、地方からも強い異議が出ているもので、後期高齢者医療制度は、撤回する以外にありません。
後期高齢者医療制度が導入されれば、75歳以上の人は、後期高齢者だけの医療保険に組み入れられ、負担限度を超える高い保険料を徴収されます。すでに、東京都では条例案がつくられ、10万円超の高額な保険料が示されています。
保険料は2年ごとに改定され、後期高齢者の人口増などに応じて、自動的に引き上がるしくみで、介護保険料と合わせ、「年金天引き」されます。年金が1万5000円未満の人は「窓口納付」になりますが、保険料が払えなければ、保険証が取り上げられます。
この過酷な保険料徴収の一方で、診療報酬は別立てになります。検討されているのは、「後期高齢者」の診療報酬を「包括払い」とし、保険が使える医療に上限を設けてしまうことです。そうなれば、手厚い治療をおこなえば病院は赤字となり、医療内容を制限せざるを得なくなります。
人は誰でも年をとり、高齢になればいろいろな病気も出てきます。高齢者を別立ての医療保険にすることに、何の道理もなく、「国民皆保険」が確立している諸外国のなかでも、年齢で被保険者を切り離し、保険料や医療内容に格差をつけている国はありません。
メディアなどが「うば捨て山」と呼んでいるように、「医療費がかかる」といって、高齢者を邪魔者扱いし、暮らしも健康も破壊していく最悪の制度です。
民商・全商連は、この制度の問題点を早くから指摘し、秋の運動のなかでも、後期高齢者医療制度の撤回を求める署名を推進してきました。こうしたなかで、「この制度が実施されたら大変になる」という世論が、地方議会での意見書採択をはじめとして、急速に広がっています。
政府・与党は、参院選での大敗や中小業者・国民の世論の強まりを恐れて、高齢者医療費負担の一部凍結を打ち出しました。しかし、制度そのものには手を付けていません。
世界にも例のない高齢者いじめの医療制度は、一部凍結ではなく、撤回こそ求められています。
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