経営安定と地位向上を 施策充実へ生の声生かし中企庁と交渉=全青協
全商連青年部協議会(全青協)は5日、中小企業庁(中企庁)と交渉を行い、三役や幹事など10人が参加しました。「小規模事業者持続化補助金の恒久化」「創業融資の自己資金要件撤廃」など業者青年の要望を伝え、「生の声を生かして施策を充実させていきたい」と前向きな回答がありました。
業者青年の経営基盤安定のために必要な五つの項目を訴える全青協議長(中央)
雨松真希人全青協議長が5項目の「業者青年の経営基盤の安定と地位向上のための施策の拡充を求める要望書」を手渡し意見交換。政策金融公庫の「新創業融資」の自己資金要件(10分の1)について、担当者は「今年4月から一定の条件が満たされる場合は自己資金要件を求めなくなったが、まだ不十分」と発言。国に先んじて開業資金の自己資金要件を撤廃(1000万円未満の融資)した滋賀県の参加者が「独り立ちした工務店従業員がこの融資を受けられて喜んでいる」と声を紹介すると、「国が自己資金要件を撤廃することで全国へのアナウンス効果もある。各県の効果も見ながら国でも検討していきたい」と回答しました。
小規模事業者持続化補助金の恒久化について、庁側は自治体などからも要望が上がっていることを明らかにし、「予算枠全体を引き上げられるといいと思っている」と説明。今年4月から始まった「事業承継補助金」について、「地域の雇用や防災・安全を支える家族経営の事業が維持できるよう制度の拡充を」と訴えると、「声を聞いてより良いものにしていきたい」と応じました。業者2世の働き分を認めない所得税法第56条についても事業継承の妨げになっていると指摘し、廃止するよう求めました。
また、元請けが社会保険料を上乗せする代わりに単価を切り下げて下請けに支払っている実態や、消費税増税が大きな負担になっていることを告発。担当者は「『下請け駆け込み寺』という窓口を各地に設置しているので不当事例は相談を」と紹介しました。
交渉終了後、参加者は「中企庁は若手事業者の実情を知りたがっている。生の声をつかむためにも業者青年実態調査アンケートを集めきることが大切」と確認。交渉初参加の幹事は、「民商という組織を通じ、国に直接声を届けられるのはすごいと実感した」と話していました。
全国商工新聞(2017年6月19日付) |