救済制度知らせよう アスベスト被害学習会
アスベスト被害のたたかいと救済制度について学んだ大商連共済会のいのちと健康を守る学習交流会
大商連共済会は10月25日、いのちと健康を守る学習交流会「アスベスト(石綿)被害の救済制度をくわしく知ろう」を大商連会館で開催し53人が参加しました。
建設アスベスト訴訟弁護団の小林邦子弁護士が、東京・大阪・福岡の高裁でたたかわれている訴訟について報告し、「一人でも多く、原告団に加わってほしい」と訴え。
遠地靖志弁護士は、アスベストがどのように使われ、どんな病気を発症するか紹介し、救済制度を解説しました。このうち「石綿健康被害救済制度」は、労災給付の対象とならない自営業者や、石綿製品の製造工場の近くに住むなど環境ばく露をした人、労災が時効で受けられなかった人なども対象となります。労災のように「どこで働いていたか」に関係なく、中皮腫(肺の袋や腹膜など膜のがん)など対象の病気であれば、補償を受けられる制度です。
両弁護士とも「共済金の請求のとき、アスベストが原因かもしれないと分かれば、あらゆる救済の可能性を考える必要がある。会員の状況をしっかり聞き取ることが大切」と強調しました。
参加者から「一般の戸建ての仕事が多く、どこでアスベストを吸ったか、現場を特定できない場合、どうすればいいか」との質問が出され、労災申請では「どこで働き、どんな建材を使っていたか」を覚えていれば、そこから証明でき、石綿健康被害救済制度では、職歴に関係なく、中皮腫と診断されれば対象となると説明。健康診断では「例えば、肺がんの場合、アスベストが心配だとしっかりと主張する必要がある」と注意を促しました。
大商連共済会の田中宏会長は「今後アスベストを使った老朽建物が増え、解体やリフォームでアスベストを吸い込むリスクが高まる。病気を早く見つけるよう健康診断を勧めるためにも、共済会の加入者を増やそう」と呼び掛けました。
アスベストを吸い込むことで発症する中皮腫では、大商連共済会のこの5年間の共済金請求で会員11人が入院または死亡しています。アスベストを原因とする病気は、発症までの期間が長いことから、今後数多く出ることが予想されるため、今ある救済制度を広く知らせようと今回の学習会を開きました。
全国商工新聞(2017年11月20日付) |