全商連共済会第22回定期総会ひらく
全商連共済会は6月23、24日の両日、東京都内で第22回定期総会を開きました。東日本大震災や大腸がん検診など助け合いの活動に確信を深め、全会員加入と配偶者の加入を本格的に前進させることなどを提起した方針案を討議。方針案、予算・決算案などを満場一致で採択し、新役員を選出しました。助け合いの共済運動をさらに発展させ、「より民商らしい共済」をめざそうと決意を固め合いました。
総会は消費税の大増税阻止のたたかいが重大な局面を迎える中で開かれました。あいさつに立った鎌田保理事長は「中小業者は今でさえ身銭を切って消費税を払っている。庶民いじめ増税に命をかける首相がどこにいるか」と厳しく批判。「命ある限り仲間とともにたたかい、中小業者が経済の主人公となる社会をめざそう」と訴えました。
全商連を代表して太田義郎副会長は「広範な国民と大資本とのせめぎ合いが強まっている。民主党政権は法人税を引き下げる一方で、10%以上の消費増税をたくらんでいる。増税を阻止するとともに、保険業法やTPP(環太平洋連携協定)から共済会を守ろう」と呼びかけました。
木村正則専務理事が総会への常任理事会報告をしました。2年間の活動の特徴について、東日本大震災で共済会が果たした役割を明らかにしました。「『特別措置』を決めて見舞金を届けたことに信頼が寄せられた。その一方で共済会の加入者にしか見舞金を届けられず、やりきれない思いに悩まされた。助け合いの手が届かない事態をなくすため、全会員加入に全力を挙げる」ことを強調。
集団健診すすめ
また、全商連60周年を記念して取り組んだ大腸がん検診が「命が助かった人を増やしただけではなく、異常なしの人が体のことを心配せずに商売に打ち込めるようになった」と述べ、こうした経験を生かし、支部・班を基盤にした集団健診のあり方を探求しようと呼びかけました。
「より民商らしい共済」をめざした今後の活動方針では、TPPに関わってアメリカが日本に金融と共済の市場開放を迫っていると指摘し、TPP参加反対の世論を広げることの重要性を強調。全会員の加入の問題では進んだ4組織の経験を報告し(1)共済デーなどの集中行動を行う(2)未加入者名簿に基づいて繰り返し訪問してはたらきかける(3)同時加入を徹底する―をあらためて提起しました。
配偶者の加入では、劣悪な健康状態にある配偶者の健康を守ることが商売を発展させる上で不可欠として、婦人部とも理解を深めながら加入を促進することを強調しました。
その上で共済運動をさらに発展させ「より民商らしい共済」を全商連と一体になってつくるため、「第2次報告」(保険業法対策・共済検討委員会)の学習・討議を進めることなどを提起しました。
鈴木義一会計が財政活動、決算報告、繰越金処理案および予算案を提案。荒木和彦、大友冠両会計監査が会計監査報告をしました。午後からは、14分散会で討論しました(別項)。
2日目の全体会では5人が発言(別項)し、方針案、決算・予算案などを満場一致で採択。共済会員数が民商会員比であらたに100%を達成した組織や前総会時の加入者より5%以上増勢にした組織などを表彰し、新役員を選出しました。
選出された新三役
総会で選出された新三役は次の通り(敬称略)。
▽理事長=鎌田保(神奈川・印刷)
▽副理事長=吉田章(埼玉・介護事業)、安部誠三郎(東京・化粧品卸・小売)、西澤深(大阪・設計)、村上哲也(兵庫・水道工事)
▽会計=鈴木義一(愛知・建築設計)
▽専務理事=今井誠(全商連・専従)
【全大会】助けあいの輪 広げて
全体会では5人が発言しました。
山梨県連共済会の石原剛副理事長は昨年8月、会員加入率80%を達成した活動を報告。「県連として毎月共済デーを計画し『お元気ですか』のはがきを全会員に届け、学習会を通じて共済会の魅力を学んだ」と発言しました。また「より民商らしい共済会」について「すべての会員が助け合いの輪に参加する。仲間を思う気持ちを大切に、役員が加入促進の主役になることが大切」と強調しました。
会員加入率88%を達成した福島県連共済会の近藤直理事長は全国からの支援に応えるため、拡大で奮闘した民商共済会の活動を紹介しました。「原発事故で一番被害が大きかった相双民商共済会は11カ連続の拡大で51人を増やし、会員加入率100%を維持している。福島民商共済会は独自チラシを作製して未加入者を訪問して加入者を増やした。支部・班を土台に全会員加入と配偶者の加入を前進させたい」と話しました。
「1年間の活動で昨年8月56%だった会員比率を80%に引き上げ、目標を達成した」と元気に報告したのは愛媛・新居浜民商共済会の田中百合子理事長。「転機となったのは県連共済会の理事長・専務理事の会議。同時加入の徹底、未加入者名簿の整理、目標と計画を立て、民商と一体に真剣に話し合い、翌日から拡大に立ち上がった。苦労もあったけれど役員と事務局が団結して目標を達成し、夢のよう」と笑顔で語りました。
医療機関と共同
兵庫県連共済会の家納昭次副理事長は、地域の民主的医療機関と一緒に実行委員会を結成して大腸がん検診に取り組んだ活動を報告。「医師、看護師と連携して会員訪問を行うなど共同行動が広がっている。さらに健診活動を前進させたい」と述べました。
大分県連共済会の七森洋司理事長は、大腸がん検診を通じて役員づくりを進めた活動を紹介しました。「宇佐民商では班で検診担当者を決め、班がないところは支部ごとに3〜5人の会員に分けて共済会の理事などが訪問した。24人の担当者が生まれ、350人の会員のうち156人が受診した。拡大で別府民商共済会は会員比率100%、日田民商共済会が90%を達成した」と報告しました。
【分散会】加入率80%めざし方針深める
分散会では方針案を積極的に受け止めて活発に討論しました。
国会審議とも関わって消費税増税への怒りの声が上がりました。福島の代議員は「野田首相は一方的な原発事故の収束宣言をしたが、立ち入りもできない地域で復興の足がかりすらないのが現状。そんな状況で消費税が増税になれば、被災地の経済と生活はどうなるのか、絶対に許せない」と発言。
大腸がん検診では「健康グッズを届けることが、会員訪問のきっかけになり、検診を勧めることができた」(滋賀)、「申告相談の時期に併せて大腸がん検診に取り組み、100人以上の会員が受診した」(福岡)などが報告されました。
討論を豊かにしたのが総会成功をめざす「特別旬間」の取り組みです。6月1日から1183人が加入し、そのうち274人が配偶者でした。「全会員加入をやりきるには、一人二人の力持ちだけの努力ではできない。支部ごとに力を発揮して目標を達成した」(兵庫)、「保険業をやっていた会員を講師に、民商の共済制度の学習をすると全商連共済会の優位性が確信になって拡大が前進し、表彰基準を突破」(山梨)、「あと3人で加入率80%を達成する。総会中も地元では奮闘が続いている」(熊本)などの発言が相次ぎました。
「より民商らしい共済」をめざす提起についても「第2次報告」への疑問や質問を出し合いながら「学習・討議を深めよう」と話し合いました。
全国商工新聞(2012年7月9日付)
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