全商連トップページ
中小施策 税金 国保・年金 金融 経営 業種 地域 平和・民主 教育・文化 県連・民商 検索
 全商連とは活動方針・決議署名宣伝資料調査婦人部青年部共済会商工研究所発行案内入会申込リンク
  トップページ> 共済会 > 全国商工新聞 第2924号 4月26日付
 
共済会
 

全商連共済会第21回定期総会方針(案)

一、開催にあたって
 全商連共済会はこの2年間、第20回臨時総会を結節点とし、保険業法の規制を許さず、いのちと健康を守る運動と一体で、全会員加入をめざす仲間づくりに奮闘してきました。
 臨時総会では、この間の助け合い共済つぶしに反撃するたたかいを総括し、民商・全商連共済の歴史を踏まえて教訓を深めるとともに、見舞金の拡充などの制度改善を含む、規約・運営規定の改正を決定し、助け合う喜びを広げてきました。
 また、「特定健診・特定保健指導」の問題点と運動方向を明らかにする学習交流会を開催し、集団健診や健康づくりを推進してきました。
 そして、制度改善も力にして、助け合いの輪を広げ、民商・全商連の団結強化に貢献してきました。
 こうしたなか、先の総選挙では、全商連とともに「大増税・改憲・貧困を許さない」とたたかい、世論と運動で自公政治を退場に追い込みました。このことは「たたかえば間違った政治は変えられる」ことを示しています。
 いま、国会では、民主党政権の下で保険業法見直しに向けた審議が始められていますが、民商・全商連共済に対する新たな規制は断じて許すわけにはいきません。制度と組織を守り抜いてきた運動の到達の上に立って、広範な自主共済が存続できるよう一致点に基づく共同行動に取り組みます。
 来年は、全商連創立60周年の節目を迎えます。民商・全商連運動のより豊かな発展に貢献する全商連共済会として、「目くばり、気くばり、心くばり」の助け合い共済をいっそう強め、いのちと健康を守る運動を通じて、社会保障の改善を迫るたたかいを共に推進しましょう。

二、中小業者の健康と社会保障をめぐる情勢
 1、経営危機のなかで進行する健康破壊の実態
 深刻な経済危機の下、広範な中小業者に「本業だけでは食べていけない」事態が広がっています。貧困と格差のなか、まちや村の荒廃が進み、社会的つながりをすべて無くしたなかでの「孤独死」が社会問題になっています。
 こうした状況は、構造改革の悪政の下で大企業の横暴が野放しにされ、労働者の非正規雇用や中小業者に対する異常な単価たたきが繰り返されてきた結果です。
 いま、中小業者の経営と暮らしの苦難と一体で、健康破壊が深刻になっていることを見逃すわけにはいきません。
 2008年度に全国の民商が実施した集団健康診断の結果には、そのことが鮮明に示されています。
 集団健康診断の受診者数は、1年間で2万7838人、大腸がん検診は1万1521人で合計3万9359人でした。
 集団健診受診者のうち、1万867人から結果報告がありましたが、「異常なし」は12・1%にとどまりました。「有所見健康」17・5%、「要再検査」18・3%、「要精密検査」22・9%、「要治療」23・1%となっています。とりわけ、有所見率は、共済情報で調査を開始した97年以降、最も高くなっています。
 また、全商連共済会の調べでは、「初診から24時間以内」に死亡した人の割合は13・6%に及び、「初診から6カ月未満」の死亡は42・8%にも達しています。
 この実態は、体調が悪くても休業補償がないために休めず、症状を悪化させている人が多いことなど、中小業者の健康実態の深刻さを表しています。
 広範な中小業者が日本経済の再建に持てる力を発揮するためにも、経済危機の打開と合わせ、心身の健康を取り戻す施策を確立することこそ、政治の責任として求められています。
 2、劣悪な社会保障と中小業者に広がる無権利状態
 民主党政権の下で、生活保護の母子加算復活や薬害肝炎救済法などが制定されましたが、年齢で医療に差別を持ち込む後期高齢者医療制度の存続や障害者自立支援法の応益負担全廃を先送りするなど、本格的な社会保障制度の改善には至っていません。
 厚生労働省の発表では、国民健康保険の保険料(税)が払えない滞納世帯は445万4000世帯(09年6月1日現在)で、加入世帯の20・8%と2年連続で2割を超えています。これは、同省が把握している1998年以降では最も高い割合になっています。
 滞納したことにより正規の保険証を取り上げられた世帯は、短期保険証120万9000世帯、資格証明書31万1000世帯で、合計152万世帯と引き続き高い水準になっています。最高限度額が4万円引き上げられるなかで、年金から保険料(税)を天引きするシステムの導入や滞納を差し押さえなどで回収しようとする強制的な徴収が広がっています。また、後期高齢者医療制度に移されたことにより、保険料を支払うことができず、滞納で短期保険証を発行された高齢者が2万8000世帯にも上っています。
 2010年度から24都道府県で保険料値上げが予定されるなか、制度廃止ではなく、65歳以上の高齢者を国保に加入させて、現役世代とは別勘定にするという新しい制度の導入が検討されています。
 生活保護が過去最多を更新し続けるなか、受給者は118万人にも及んでいますが、人格を攻撃することであきらめさせたり、中小業者を対象から排除する制裁行政が強まっていることは重大です。国民年金も、最低生活を何ら保障しないばかりか、保険料の完納率が過去最低を記録するなど、無資格者を増大させています。25年加入しなければ受給資格が得られず、受給年齢は65歳に引き延ばされ、減免制度も加入者の実情に合わない点で、世界でも異常な制度となっています。
 民主党政権が、この年金改革を口実にして、最悪の大衆課税である消費税の増税を企んでいることは断じて許せません。経済危機にあっても利益剰余金を膨らませ続ける大企業や証券優遇税制など莫大な恩恵を受けている大資産家に応分の負担を求めれば、消費税増税に頼る必要はまったくありません。
 3、早期発見・早期治療にも逆行する特定健診・特定保健指導
 自公政権時代に導入された「特定健診・特定保健指導」(以下、特定健診)は、広範な中小業者・国民にとって、病気の早期発見・早期治療を遠ざける役割しか果たしていません。特定健診の導入で、とりわけ顕著になっているのが受診者の減少です。
 国保中央会によれば、08年度の市町村国保の特定健診受診率が、平均28・3%にとどまったことが発表されています。厚生労働省がまとめた市町村国保の初年度の平均目標値が35%であることから、目標を大きく下回っています。
 毎日新聞が特定健診問題で自治体に対し行ったアンケート調査(全国806市区)では、受診率低迷の理由として、「健診が保険者ごとの実施になり、従来と方法や場所が変わった」が最も多く6割、「国や自治体の周知不足」が5割、「(心電図や眼底検査など)検査項目の減少」が3割となったことなどを指摘した上で、現行制度の見直しを求める声が多かったと報じています。
 また、特定健診の実施で、健康診断とがん検診が保険者と自治体に縦割りにされたことによって、実施日時などの周知がそれぞれになって広報の不徹底が生じるなど、がん検診の受診率も低下する事態が生じています。国は市町村にがん検診の実施を求めていますが、努力義務にとどめていることは重大です。
 大切なのは、民主党政権に後期高齢者医療制度を廃止させることが、特定健診の廃止につながるということです。かつての自治体が主体の基本健診は最良の制度ではありませんが、広範な中小業者・国民に安心感をもたらす「よりましな健診」を保障するため、元の老人保健法に基づく健診に戻すべきです。
 4、憲法に基づく社会保障の再構築こそ、政治の責任
 この間、「官から民へ」という構造改革路線の下で、社会保障の制度全体が大きく後退・変質させられてきました。ことさらに「自己責任」が強調されるなか、「負担能力がなければ、社会保障を受けられない」という過酷さに失望し、自らのいのちを絶つという悲劇さえ広げてきたのが日本の現実です。
 いま、求められているのは、憲法に基づき国民に等しく「平和的生存権」を保障させ、なおかつ「社会保障・社会福祉・公衆衛生の向上」という国の使命を守らせる世論と運動を広げることです。
 社会保障の給付は、利用に条件を付けず、誰もが必要があれば使える仕組みをつくることです。また、必要の度合いに応じて利用できるように、その費用は、税金でも社会保障でも、能力に応じた公平な負担が貫かれるべきです。
 「すべての人びとに健康を」保障することで、環境・雇用・生業を守り、貧困と格差を是正するため、共同と連帯を大きく広げていくことが求められています。

三、保険業法から助け合い共済を守る運動
 1、たたかいの到達‐臨時総会で明らかにした教訓に立ち返って
 保険業法による攻撃に対し、全商連とともに前回総会方針に基づき、署名・要請はがき運動などの先頭に立つとともに、「共済懇話会」に結集する関係諸団体との共同を強めて、助け合い共済を守れの世論を高めてきました。
 「保険業法見直し、団体自治に干渉しないこと」をはじめとした署名は160万人分を超え、要請はがきは21万通超となっています。また、地方での懇話会結成は33都道府県に到達したのをはじめ、学習会や議員事務所訪問などを通じて、さまざまな団体との共同が広がりました。地方議会への要請を強め、採択された議会は、4県96市82町43村(10年4月14日現在)に上っています。
 第20回臨時総会では、こうした奮闘により、助け合い共済を守り抜くという歴史的画期を成す成果をかちとった、この間のたたかいを総括し、以下の教訓を明らかにしました。
 一つは、創立以来、保険会社などの金融資本に依拠しない、団結権に基づく自前の共済として発展してきたこと。二つには、「民商にふさわしい共済とは何か」を絶えず探求し、「保険的要素」を一つひとつ克服する立場から制度と組織を改善してきたこと。そして三つには、「団結こそ何ものにも勝る宝」を一貫した理念とし、「集まって、話し合い、相談し、助け合う」という民商・全商連の組織活動に深く根ざす共済会として、いのちと健康を守る運動を推進し、健康破壊の実態告発を通じて社会保障を前進させる世論と運動を強めてきたことなどです。
 これからのたたかいを進める上で、いま改めてこの教訓に立ち返ることが重要になっています。
 2、今後のたたかいの方向
(1)共済運動の社会的意義、および憲法を力にして
 国が責任を持つべき医療、介護、福祉など社会保障の分野に市場原理、競争原理を持ち込み、大企業のもうけの対象にする構造改革路線の推進によって、中小業者・国民は将来不安を高めています。
 共済運動は、広範な中小業者・国民が地域・職場において自主的・主体的に取り組む生活保障を確立する運動であり、社会保障を拡充する運動です。助け合い共済は、連帯や団結によって格差、差別などの社会的な不平等を是正する取り組みとして、また、市場原理の下で失われつつある人間性を回復する運動として、利益を目的にした制度ではなく、非営利、相互扶助として、保険会社にはまねのできない制度として中小業者・国民の間に根付いてきました。
 同時に、助け合い共済は、憲法が明記する「結社の自由」(憲法21条)および幸福追求権(憲法13条)に基づきつくられてきた制度です。
 全商連共済会が、「一人はみんなのために、みんなは一人のために」の相互扶助の精神を大いに発揮して、いのちと健康を大切にする多彩な運動を推進し、社会保障をより前進させる力として、大きな役割を発揮することが求められています。同時に、保険業法による不当な干渉が、憲法の規定をも蹂躙する攻撃としての特徴を持っていることを明らかにし、懇話会に参加する諸団体とも共同して、憲法の規定を力に国民的運動へと発展させます。
(2)より民商らしい助け合い共済の確立で、団体自治を高めて反撃を
 助け合い共済は、同じ団体の構成員がお互いに力を合わせ、運動を進めてきたなかで培われた連帯感や仲間意識を基礎にして、会員のなかで病気や事故があった場合は助け、喜びごとには祝い合うことを意識して加入するものです。したがって、共済とは仲間から助けられる喜びとともに、助ける喜びを分かち合う運動、まさに助け合いの精神、民商理念を体現した運動です。
 より民商らしい共済制度とは、民商会員でありながら共済に加入していないことによって、この助け合い運動の輪に加われない現状をなくして、まさに全会員が加入して、仲間同士の「目くばり、気くばり、心くばり」の助け合いの組織にしていくことです。
 全会員加入が進めば団体自治が高まることは必然です。保険業法に関して金融庁は、団体自治については干渉しないと表明してきました。
 全会員加入に限りなく接近すれば、ほぼ全会員が参加して、自分たちの創意を発揮して、自分たちで運営するという団体自治の域に達します。しかも、そのことで、民商会員のための共済制度であることが、いっそう明瞭になります。
 これらの点で、全会員加入を実現し、より民商らしい共済制度を確立して、団体自治を強めることが保険業法から助け合い共済を守る最大の保障となります。
(3)助け合い共済を守るためにも、全商連とともに、政治の革新を
 保険業法をめぐるたたかいは、視点を大きくしてとらえれば、構造改革路線とのたたかいと軌を一にしています。共済と保険の垣根を取り払い、助け合い共済を「もうけ事業」へと変質・解体させることで、保険会社の市場を拡大してきたことは構造改革路線の悪政そのものです。
 保険業法規制から助け合い共済を守るたたかいは、大きくはこの構造改革路線に反対するたたかいです。
 構造改革路線を推進してきた自公政権に代わり、「国民の生活が第一」を掲げて登場した民主党政権ですが、構造改革については、その推進を自民党と競い合ってきただけに世論と運動の高まりを抜きにしては、政治を前向きに変化させることはできません。
 構造改革路線を転換し、助け合い共済を守り抜くためにも、政治の変革が求められており、そのことをめざし全商連と団結して奮闘します。

四、集団健診をはじめとした「いのちと健康を守る」運動
 1、全会員参加の集団健診と結果報告会の取り組みを
 集団健康診断は、2008年度は472民商・県連共済会が取り組み、そのうち支部主催の健診は159支部で行われました。これら集団健診の取り組みは、集団健診の三つの意義((1)いのちと健康を守るという最も切実な会員の要求に応える活動、(2)仲間の健康に対する「目くばり、気くばり、心くばり」を通じて、民商の班・支部の強化に結びつくこと、(3)社会保障の改善、中小業者の社会的・経済的地位向上をめざす運動と直結する性格を持っている)を、いっそう鮮明にしています。
 中小業者の健康破壊が著しいだけに、いのちと健康を守るための取り組み、とりわけ、集団健診を全会員の参加で成功させることが求められています。
 中小業者の健康破壊は、仕事の継続困難や廃業など、直接商売を続けていく上での危機につながります。したがって、中小業者にとって集団健診は、「いのちと健康を守る」運動のなかでも重点の課題です。一人でも多くの仲間に、集団健診へ参加してもらうことで、手遅れをなくすことができ、元気に商売を続けたいという願いに応えることができます。また、大腸がんの一点検診は、集団健診を促進する上での入り口ともなる取り組みです。同時に、健診後に結果報告会を開催することで、健康管理や再検査、治療に結び付けることができます。
 すべての民商で、全会員を対象に、支部が主催し、班で誘い合い呼びかけ合う集団健診や一点検診での健診活動を旺盛に取り組みます。また、結果報告会は、医師や看護師の話を聞く機会を設けるなど、工夫もして開催します。
 これから多くの被害者が発生する可能性が指摘されている中皮腫など、アスベスト被害対策を重視します。昨年度は、アスベスト健康被害学習会を行った組織もあります。被害者の掘り起こしのためのアスベスト検診にも積極的に取り組み、国と関係大企業に、被害者への保障の拡充を求めていきます。
 2、特定健診の制度と運用改善を迫りつつ、集団健診の強化を
 営業の危機に伴う健康破壊から中小業者のいのちと健康を守るため、民商・県連とも相談し、「後期高齢者医療制度の廃止と合わせて、基本健診を復活せよ」の世論を広げつつ、特定健診の制度と運用の改善を迫ります。
 具体的には、有料となった受診料の負担軽減を働きかけます。疾病を見落とす危険性を指摘し、削減された検査項目の復活を要求します。また、健診主体である保険者と実施機関である医療機関との集合契約を、国・自治体の責任で推進するように求めます。がん検診の受診率を引き上げるべく、自治体に助成制度を提案します。さらには、保険料を払いきれない世帯に対する差別健診をやめるように迫ります。
 同時に、多くの問題点を抱える特定健診の下でも、経営危機に伴う健康破壊から中小業者のいのちと健康を守るため、諸問題を一つひとつ克服しながら、集団健診を強めるようにします。合わせて、特定健診とがん検診が相乗的に推進されるよう、自治体・保険者へ働きかけます。
 3、いのちと健康を守る多彩な取り組みの強化を学習活動とも結んで
 病気にならない健康づくりを進めるには、自分自身の健康に日常的に関心を持つことが必要です。同時に、劣悪な社会保障制度や深刻な経営状況の下で、健康の維持を個人の責任にとどめず、民商の仲間、地域で一緒に営業する中小業者全体の問題としてとらえ、お互いに気遣い合うことが重要になっています。
 休めばたちまち収入が途絶える中小業者の実態からみれば、入院してからではなく、早期に病気を発見し、治療することが求められます。
 さらには、病気にならない健康づくりこそ大事です。「健康大学」や「保健大学」、スポーツ大会、健康まつりなどは、健康に関心を持てる身近な取り組みです。民商ならではの創意・工夫で、会員が交流できる大切な場として気軽に取り組むようにします。
 また、いのちと健康に係る情勢や保健の重要性を学習することは、健康への関心を高める大切な機会になります。共済会として、中小業者の健康実態を把握し、その分析などをもとに、すべての県連共済会でいのちと健康を守る学習交流会を開催し、全会員対象のいのちと健康を守る運動に取り組むようにします。

五、民商の班・支部を基礎に、全会員が加入する共済運動に
 1、一気に、会員加入率80%の達成を
 この間、力を集中して、全会員加入・「移行」運動を強めてきましたが、当面の目標である会員加入率80%には、いまだ到達していません。全会員加入めざして、引き続き大きな奮闘で、会員加入率80%を一気に達成させます。
 現在、加入者は27万9805人(10年3月1日現在)、民商会員の加入率は71・8%です。民商会員加入率が80%を超えている組織は195組織(186民商共済会、9県連共済会)になりました。
 すべての民商会員が共済に加入することで、「助けられる人と助けられない人」の垣根がなくなります。
 そのことは、より民商らしい共済制度を確立し、助け合いの内容をいっそう豊かにするとともに、共済会が本当の意味で「仲間同士の助け合い」の組織になることを意味します。
 助け合いを通じて、仲間同士の強いつながりを実感できる共済運動は、民商運動そのものです。この運動にすべての民商会員が参加することで、民商の理念を実感し、運動が豊かなものへと発展します。
 全会員加入を実現するためには、共済会の役員会で、会員加入率を引き上げる意義や共済会の役割、その魅力を学習と結んで明らかにすることが重要です。
 困難を抱えている人や経済的理由で加入をためらう人こそ共済を必要としています。仲間である民商会員を区別せず、加入を訴えることこそ大切になっています。
 2、「移行」を進めて、生存者重視の共済制度の確立を
 この2年間、全会員加入と合わせて、生存者重視の民商・全商連共済会の理念と役割を語り、「移行」運動を進めてきました。附則加入者は全国で9738人(10年3月1日現在)、本則加入率は96・5%になりました。附則加入者のいない民商共済会は168組織となって、10人以下の組織(178民商)を含めると58・8%の組織になります。生存者重視で、中小業者が求めている助け合い共済の理念・制度を伝えきるなどして、「移行」を積極的に推進します。
 3、班・支部を基礎に、「目くばり、気くばり、心くばり」の活動を
 班・支部は、民商運動の土台をなす組織であり、共済運動も班・支部という組織を基礎にしてすすめなければ、全会員が参加する助け合いの組織として確立することはできません。また、共済運動を通じて「仲間同士の助け合い」の民商理念を実感することで、班・支部づくりも前進します。
 多くの仲間が健康に不安を抱え、体調を崩しても我慢し、営業を続けています。こうした仲間に健診や治療を勧めるなど、共に助け合うことができるのは班の仲間であり、声をかけることができるのは支部の役員です。とりわけ、消費税導入以降、民商会員とその配偶者の自殺が高い水準で推移しているだけに、班・支部を基礎にした助け合いが重要になっています。
 班に共済係、支部に共済役員を確立し、「目くばり、気くばり、心くばり」の活動を行き渡らせ、共済運動を前進させます。規約に基づく年1回の総会や毎月の役員会を開催し、日常的に民商・県連の指導と援助を受けるようにします。

六、学習こそ運動の推進力‐旺盛な学習を力に運動の前進を
 「ふと『病気になっては困る。健康が一番』と思い、大腸がん検診を受けました。結果は陽性で目の前が真っ白になりました。即手術をして助かることができました」‐これは、全商連共済会が受け取った加入者からの「ありがとうの手紙」の一節です。もし、共済会に入らず、健診を受けていなければ、この方の健康と商売の継続が危うかったことは容易に察しがつきます。ここには、いのちと健康を守るという共済会の役割の大きさが端的に示されています。
 また、全商連共済会は発足以来、128万人の加入者に778億円を超える共済金を届けてきました。
 これは、「一人はみんなのために、みんなは一人のために」という共済会の助け合いの理念に徹した「自前の共済」の優位性によってかちとられた成果です。
 こうした全商連共済会の果たしている役割や歴史、理念、制度の優位性を学習し、共済運動に確信と誇りを持つことがとりわけ重要になっています。そのことが全会員加入・「移行」の促進や助け合い共済を守るたたかい、いのちと健康を守る運動を推進する上で、大きな力になります。
 学習こそ運動の推進力です。民商・全商連の「運動しつつ学び、学びつつ運動する」という伝統を生かして、学習の取り組みを旺盛に進めます。
 全商連共済会発行の「総会決定集」や「いのちと健康を守る学習交流会報告集」「加入促進・学習リーフ」などを大いに活用します。

七、助け合いの共済制度を保障する財政活動の強化と実務活動の改善を
 共済会の場合、一人ひとりの共済会費は、いのちと健康を守る運動を支え、祝金や見舞金などの共済金を担保する基金で、加入者の権利を保障するものです。したがって、原因はどうであれ、共済会の会費の「未収・未納」は許されないものです。
 助け合い共済として、お互いの資格と権利を守り合うという点で、組織として会費を集めきるという責任があり、一方で、個々の会員としても自らの資格と権利を守り、かつ仲間同士の共済金を保障し合うためにも会費を自覚的に納入する努力が求められています。
 共済会費の「未収・未納」問題は、単に共済会の財政問題としてだけではなく、民商運動そのものにかかわる問題として、共済会の役員会で検討することはもちろん、民商・県連の財政確立のなかにしっかりと位置付けられるように、共済会として働きかけていくことが必要です。
 同時に、加入者の資格と権利を守るという点で、規約・運営規定の正確な理解、それに基づく迅速な実務処理が重要になっています。また、役員中心の民主的運営を進める上で、役員が見ても分かりやすい資料を作成し、規約に基づき定期的に機関会議を開催することが求められています。
 規約・運営規定、事務のしおりの学習を積極的に行うとともに、役員会での諸資料に基づく議論を重視します。

八、おわりに
 共済運動は、いのちと健康を守る力を高め、民商・全商連運動と組織をより豊かに発展させる役割を果たしています。全商連共済会は、これまでも民商ならではの共済制度の確立を追求し、制度改善を重ねてきましたが、仲間を増やし、会員主人公の団体自治を高めるならば、仲間の助け合いをいっそう充実させる展望が開けます。また、保険業法のたたかいをより前進させるためにも、より民商らしい共済運動への発展が求められており、その軸となるのは、全会員加入・「移行」での大きな飛躍です。そして、そのことが制度改善を図る確かな力にもなります。
 全会員が参加する共済会の実現で、助け助けられる活動を民商の隅々まで行き渡らせましょう。民商・全商連運動と全商連共済会の歴史と伝統、その役割に確信を持って、中小業者の経営と暮らし、健康を守るため、共済運動の新時代をめざしましょう。


   
  ページの先頭