第19回商工交流会(神戸) 第5分科会・第9分科会
【第5分科会】サービス業の革新とニュービジネス 小規模事業者とIT活用
兵庫県中小商工業研究所 近藤義晴
この分科会では、ソフトウェア開発や結婚式の二次会用飲食パーティーを中心としたサービス提供、袴づくりに介護タクシーなど多彩な事業者に経験を報告してもらいます。
サービスの内容は幅が広く、一般的にサービス業と考えられる事業だけに限定して分科会を運営することにはなりません。
今日では、製造業であれ、小売業であれ、農業であれ、サービスを伴って事業展開されます。例えば、イチゴ農園はイチゴ狩りというサービスを伴う場合があります。
少なくとも、報告事業者に共通するのは、顧客の個別的事情・要求に依拠しながら事業を営んでいることです。
一言で言えば、カスタマイズ(個別顧客志向の欲求充足)です。お客さんは多様であり、リピーターでも時が変われば求めるものが異なることもあるでしょう。一般的にも、人々の満足感は時・場所・状況によって異なります。場合によっては、ITを活用して顧客圏を広げることも必要となります。
この分科会は、より個別的な経営実践の手がかりを得る場です。報告者の話は、参加者にとって直ちにヒントにもならないかもしれません。だからこそ、報告者の話を契機に、参加者の事例や質問を交えて、より多様な可能性を探る機会になればと思っています。
【第9分科会】中小企業振興条例と地域産業政策 小規模基本法を生かして
京都大学教授 岡田知弘
安倍内閣は、昨年来「ローカル・アベノミクス」と称して、「地方創生」を前面に押し出してきています。しかし、その内容を見ると、相変わらず規制緩和による企業誘致や「選択と集中」に力点を置いています。また、国の掲げた数値目標を達成するために、地方自治体に地方創生総合戦略の策定を求めたり、財政誘導や国家公務員の派遣によって、中央集権的な手段が講じられています。TPPの妥結に向けて暴走していることも危惧される点です。
これに対して、中小企業振興基本条例や公契約条例を制定して、地域の担い手である中小企業・業者、さらには農家や協同組合の育成を図り、地域社会の持続的発展に取り組む自治体が増えています。中小企業振興基本条例を制定した自治体は170を超えました。都道府県レベルでは33と過半数に達しています。また、小規模企業振興基本法の制定もあり、条例の内容も深化しつつあります。さらに、住宅リフォーム助成、再生可能エネルギー事業支援など独自の地域産業政策も広がっています。
本分科会では、条例制定や地域産業政策の最新動向と成果を学び合うとともに、条例制定前・制定後の取り組みの課題と、その打開方向について議論してみたいと思います。
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全国商工新聞(2015年8月24日付)
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