第19回商工交流会(神戸) 第3分科会・第8分科会
【第3分科会】持続可能なまちづくりと地域商業
和歌山大学教授 足立基浩
第3分科会は、近年まちづくり研究分野ではキーワードとなっている「持続可能(サステイナブル)」をモチーフにして、子や孫の世代でも住み続けることができるような商業まちづくりの方向性と手法を模索します。
この分野における現代的な課題は、ずばり「地域商業の必要性」についてです。私は日本とイギリスの商店街問題を長年研究してきましたが、イギリスでは地方都市における商店街は概して元気であり、コミュニティーの核となっています。イギリスの商店街では店主の平均年齢も若く、まさに「世代を超えた」コミュニティーがあり、当たり前のように地域商業(商店街)がその一翼を担っています。一方、日本では地方商店街の多くはシャッター通り化しているのが現状です。
こうした課題について、日本全国の事例などを踏まえながら(1)商店街組織の話(リーダーシップのあり方、やる気の出る組織の在り方など)(2)商店街全体でのサービスの方向性の話(3)資金繰りなどお金の話(4)情報発信分野で効果的な手法をめぐる話(5)土地問題・都市計画などの点で議論を深めていきたいと思っています。
【第8分科会】ネットワークでつくる商売繁盛
兵庫県大学教授 佐竹隆幸
第8分科会では企業間連携について議論を深めます。
中小企業型の産業クラスター(企業・大学・自治体などが地理的に集積し、連携や競争を通じて付加価値を創出する状態)として、「企業間連携」の構築が求められています。最近は、集積地自体の縮小均衡の中で残った優良企業を中心に、新たなクラスターの形成もみられるようになってきました。しかし産業クラスターや産学公連携といった用語が飛び交うなかで「一部の優良企業向けの話」と意識しがちな中小企業も少なくありません。
企業間連携とは、企業間でネットワークを組み、互いに社外取締役的な役割を果たす、つまり「場」づくりのための一つのプロセスです。そのためには「信頼関係」がベースになくてはなりません。一つの地域を核とし、地域内での信頼関係を、顧客・取引先・従業員・行政・住民と構築することは「信頼関係」形成へとつながります。
企業間連携の構築は「新規性」という基準で評価される第二創業へと発展します。第二創業を進めていくことは、ひいては顧客価値創造経営へと発展します。
これからの企業経営の方向性を導き出す一つの方策として再認識すべき、企業間連携の重要性を深めていきます。
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全国商工新聞(2015年8月3日付)
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