第19回商工交流会(神戸) 憲法講座・第1分科会
【憲法講座】民意に反する安倍政権 戦争法案阻止の展望
東京大学名誉教授 醍醐聰
神戸女学院大学教授 石川康宏
前回の商工交流会での憲法講座の様子(2013年9月・岡山)
戦後70年を目前に、安倍晋三内閣は集団的自衛権行使容認や戦争法制へ、暴走を強めています。これらの解釈改憲のたくらみに対し「立憲主義に反する」との学者の主張に接する機会も増えています。
立憲主義とは「政府の統治を憲法に基づいて行わなければならない」という近代政治の基本原理です。時の政府がこの憲法の解釈を都合よく変えてしまえば「権力を縛るはずの憲法」が単なる空文句になってしまいます。
しかし、自民党の狙いは立憲主義に反する解釈改憲に留まりません。12年に発表した「憲法改正草案」では、憲法を「国家権力を縛るもの」から「国民を縛るもの」へ変えようとしています。「憲法」の変質を図り、近代立憲主義を根底から覆すものと言えます。
憲法講座では、東京大学の醍醐聰名誉教授と神戸女学院大学の石川康宏教授の対談を通じ、自民党憲法改正草案がめざす国家ビジョンと国民像の問題点を明らかにします。
国会での議席は多数でも、安倍政権の主要政策と民意との軋轢・矛盾は拡大しています。「どうしたら危険なたくらみを阻止できるのか」「展望はあるのか」など疑問や質問に応え、国民運動の課題と展望についても議論を進めます。
【第1分科会】グローバル化と地域再生 ものづくりと産業集積の課題
駒澤大学教授 吉田敬一
国民経済の基礎は価値を生み出すモノづくり産業です。その主役は地域的集積を構成する中小零細企業です。
ITを持ち上げる人々は「コンピューター、ソフトがなければただの箱」と言いますが、一方で「コンピューター、ハードがなければただの夢」です。いま求められているのは先進国としての日本のモノづくり力を生かした製造業の復権です。その可能性はドイツやイタリアが示すように地域特性に根ざした中小製造業が持っています。
いまの日本経済は、アベノミクスの下での急激な円安傾向にもかかわらず輸出が増えない中で、大企業の利益だけは拡大を続けており、高度成長から安定成長へと成長の道筋を謳歌した20世紀とは異質な再生産・収益構造に転換しつつあります。また、人口減少・超高齢化という難問に直面しており、「自治体消滅」というショッキングな報告書が出されました。政府は「地方創生」を緊急課題として政策の柱にしつつありますが、果たしてアベノミクスによる成長戦略の延長線上に解決策は見い出せるのでしょうか。
第1分科会では、アベノミクス効果の実態、その光と影も明らかにします。空洞化しない日本経済の柱としての地場産業・中小零細企業の新たな役割と可能性を語り合いましょう。
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全国商工新聞(2015年7月20日付)
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