第17回商工交流会 第9分科会「中小企業振興条例と地域産業政策の課題」
横浜国立大学教授 三井 逸友さん
昨年閣議決定された「中小企業憲章」は、家族経営・小企業を含めた中小企業の存在の意義、地域経済と社会のうちでの役割と可能性を明確に示しました。これを国政で積極的に生かし、「Think small first」の考え方をあらゆる課題や政策立案の実行に用いるとともに、経済社会のあり方、地方行政のなかに具体化し、広げていくことが極めて重要です。また、地域のコミュニティーと互いに支え合う存在であることも、3・11大震災によってあらためて示されました。
そうした意味で、「地域中小企業振興条例」の制定は大きな目標です。地域の商工業者、住民、行政などが協力し、息長い取り組みを重ね、条例制定を実現するとともに、これを実際の施策や制度、人材育成や技術開発、事業機会確保、市場開拓などにつなげる諸方面の協力と連携、知恵の出し合いがいま必要になっています。
地域の貴重な資源の活用、地域の住民の生活の向上を図り、中小業者ならではの知恵と熟練、連携と協働を生かし、地域づくりを住民みんなのものにしていかねばなりません。
この分科会では、近年相次いで制定を見た各地の「振興条例」の取り組み経験を交流し、教訓を知るとともに、条例の実質化、実践への課題を参加者全員で考え、中小商工業者が「主役」として生きられる、貢献できる地域づくりへの新たな知恵と方法を磨いていきたいと願っています。
全国商工新聞(2011年9月12日付)
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