第17回商工交流会
第13分科会「税と社会保障の一体改革」を考える
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立正大学法学部客員教授
浦野 広明さん
政府・与党社会保障改革本部(本部長・菅直人首相)は、消費税について「2010年代半ばまでに段階的に消費税率(国・地方)を10%まで引き上げる」とする社会保障・税一体改革成案を決定した(2011年6月30日)。
成案の内容は(1)消費税率引き上げ(2)所得税、住民税、相続税の庶民増税(3)法人実効税率引き下げ(4)地方消費税の増税(5)社会保障の大幅削減(39歳以下にも介護保険料負担、年金支給70歳に、70~74歳窓口負担1割から2割)などである。
憲法の立場からすれば、一方で税・社会保障負担は、負担者の生活を圧迫しない程度の低い水準に抑え(応能負担)、他方で社会保障給付は最低生活が保障される程度の水準を維持しなければならない。
二つの要請を充足することは現代国家の義務である。
この国家の義務の放棄をめざすのが、自公民の「一体改革路線」(付則104条)である。
分科会では市場のための改革ではなく、国民のための改革を実現させる道を探る。
全国商工新聞(2011年8月22日付)
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