全商連第52回定期総会方針
一、開催にあたって
二、転換期における情勢の特徴
三、地域を舞台に経営危機打開の運動に全力を
四、消費税闘争を発展させ、権力の横暴是正を
五、戦争法廃止、民主主義・立憲主義の回復を
六、転換期に打って出る強大な民商・全商連を
七、命と健康を守る助け合い共済運動の前進を
八、家族や経営を支える業者婦人の対策強化を
九、民商の未来を担う業者青年の対策強化を
十、連合会組織の役割発揮と県連機能の強化を
十一、おわりに―歴史の転換期に立って
特別決議
一、開催にあたって
いま、日本を再び、「戦争国家」にしようとする時代の逆流を許すのか、それとも憲法の先駆的価値が生きる社会への展望を開くのかをめぐって、「歴史的転換期」のせめぎ合いが強まっています。
安倍暴走政治への反撃は、「一点共闘」からあらゆる階層と年代を超える多彩な運動へと力強く発展しています。国のあり方を問い、政治の変革を求める世論と自覚的な行動が湧き起こっています。
その根底には、憲法公布から70年、その平和的・民主的条項を現実のものとする取り組みが脈々と受け継がれてきたことがあります。ここに確信をもって、立憲主義と民主主義を取り戻し、発揚させるたたかいが強く求められています。
全商連は今年、創立65年を迎えます。前総会以降の2年間、「平和でこそ商売繁盛」と戦争法廃止をめざす国民共同に貢献してきました。また、危機打開へ「経営・暮らし・健康の向上」調査(全会員調査)や全自治体要請に取り組みました。私たちの運動でつくらせた小規模企業振興基本法(小規模基本法)の積極面を生かして、中小業者の経営振興と地域循環型経済に役立つ施策を実現してきました。
消費税大増税路線や「営業の存続を許さない税収奪」に反撃するとともに、申告納税制度の擁護発展をめざし、弾圧に抗して中小業者の生きる道を広げてきました。
民商・全商連運動のかけがえのない「値打ち」を全会員の確信とし、「仲間を増やして悪政に反撃」のたたかいを発展させることが重要です。
今後2年間、業者人生の豊かな経験と示唆を若い世代の成長へと生かすことで運動の継承・発展を進めます。団結の力を存分に発揮して、民商・全商連の理念と要求実現の道筋を全中小業者に知らせる政策提案活動を抜本的に強め、打って出る活動にまい進します。
二、転換期における情勢の特徴
1、広がる苦難と湧き上がる自覚的な行動
「消費税をどうやって払えばいいのか。何のために働いているのか」「預金の差し押さえで、大手取引先からの仕事がなくなった」「これから一気に廃業や倒産が増える」―これらは、昨年の全会員調査に寄せられた仲間の痛切な「ひとこと」です。ここには、8%への消費税増税で「身銭」を切らされ、過酷な徴税によって信用を傷つけられ、暗雲垂れ込める先行きに苦悩しながらも、懸命に商売を維持し、生き抜いている姿が示されています。
いま、全会員調査や政府の調査に共通するのは、売上・利益を連続的に減らし、年所得300万円未満で暮らす中小業者が階層として6割を超えるという異常な状況です。雇用者報酬や家計消費支出が低迷し続け、GDP(国内総生産)も年率換算で1・1%減少しています。家計貯蓄率も2014年に統計史上、初めてマイナスに転落しています。これが日本経済の現実に他なりません。
加えて、東日本大震災の被災地では、5年の歳月が経過しても、暮らしと生業が再生できない事態です。今なお、原発災害に苦しむ福島県においては、国道や県道沿いに行き場のない除染廃棄物が黒いフレコンバッグに詰められ、積み上げられている異様な光景さえ広がっています。
しかし、混迷する社会の中で「民主主義って何だ」「憲法が踏みにじられていいのか」と、多くの国民が立ち上がっています。暮らしの苦難に応えず、国民の平和的生存権さえ侵害する政治に対し、「変えるしかない」という危機意識と憤りがかつてなく共有されています。
2、害悪と破綻が鮮明な安倍政権の暴走
安倍暴走政治と国民の利害対立は、政治的にも、経済的にも拡大し続けています。
戦争法ゴリ押しと併せ、自衛隊が在日米軍と一体で戦地に赴く「軍事協定」の整備が図られ、日本を「殺し、殺される国」へとおとしめる現実的な危機が高まっています。また、沖縄・辺野古への新基地建設の野望を捨てず、「命どう宝」とする沖縄県民の信条を踏みにじり、「外交と軍事は国の専権事項」だと地方自治をも蹂躙しています。
福島原発事故の汚染処理も廃炉も進まないまま原発を再稼働させ、重大事故を起こしても責任が免罪される国際協定づくりもたくらみ、原発の輸出を進めています。そして、国民に何ら真実を知らせることなく、アメリカいいなりに経済主権を放棄し、「国のかたち」をも変えてしまうTPP(環太平洋連携協定)の批准を画策しつつ、「地方創生」を口実に、自治体の権限や住民自治を制約し、公共サービスを切り縮める道州制を狙っています。
安倍暴走政治の行き詰まりは「税の取り方と使い道」からも明らかです。将来にわたる果てしない消費税大増税路線を敷き、社会保障を解体に導きながら、大軍拡と大企業への特権的な減免税を際限もなく拡大する予算を編成しました。また、「異次元の金融緩和」の名で、国民の財産である厚生年金の積立金まで注ぎ込んで株と土地の投機を呼び起こし、為替差益によって多国籍大企業の内部留保をかつてなく膨らませる状況を招いてきました。貧困と格差はいっそう拡大するとともに、「経済の軍事化」によってアメリカ追随と大企業の利益拡大を最優先する国策が、「世界で一番企業が活動しやすい国」づくり、「戦争する国」づくりとして進められています。
いま、明文改憲さえ公言する安倍暴走政治によって、自民党の支配体制の基盤そのものが根本的に崩壊する状況が広がっています。
歴史に学べば、1980年代後半以降、大企業の多国籍化に伴い、従来の国内産業の構造がことごとく変質し、雇用でも取引でも「ルールなき経済社会」といわれる事態となりました。そして、1989年の消費税導入を契機として、廃業・倒産が新規開業を上回るようになりました。自民党は、財界のみの意向によって動く政党となり、地元保守層の支持さえ失い始めました。この中で、自民党は、89年の参議院・過半数割れを皮切りに、93年と2009年に政権退場の審判を下され、今日の安倍首相に至っては有権者比でわずか17%の得票しか得ていないのです。1994年からの小選挙区制の導入により、限られた国民の支持で政権を担うことが可能となり、自民党内に存在していた多様性が失われ、暴走へのブレーキも効かなくなっています。
3、国民が希望の持てる経済社会をめざして
いま、安倍政権の「戦争する国」づくりへの反撃として、世論と運動が新たな地平を切り開きつつあるといって過言ではありません。多くの国民が自らを主権者の一人として意識し、自覚的に集会やデモに参加して意思を行動に表しています。国会周辺はもとより、全国津々浦々から湧き起こる運動の息吹は、1960年の日米安保条約改定反対運動とも質的に異なる取り組みへと発展しています。
そして、日本弁護士連合会や若い世代が立ち上げたSEALDs(シールズ・自由と民主主義のための学生緊急行動)、元内閣法制局長官を含む多くの憲法学者・研究者をはじめ、あらゆる階層を網羅して新たな国民共同が広がり続けています。この中で、民商・全商連は平和産業の担い手として中小業者の生き抜く道を広げるため、旺盛な宣伝・対話を展開するとともに多彩な共同行動の一つひとつが成功するよう支えて貢献してきました。
さまざまな一点共闘の課題も、そのすべてが地域と中小業者の振興に関わるたたかいにつながっています。沖縄をはじめ、日本中に張り巡らされた在日米軍基地の撤去によって「基地に依存しない地域経済」実現の展望は開かれます。原発再稼働を阻止し、原発ゼロをめざす運動も、将来にわたって原発災害への心配をなくし、安心・安全で持続可能な地域づくりと再生可能エネルギーへの転換を進める力になります。TPP批准を阻止することで経済主権を確立し、農と食の安全はもとより、地域に貢献する官公需や自治体制度融資などの施策を守り改善していく道も開かれます。
中小業者の生きる道は、住民と地元中小業者が主人公となる循環型地域経済を実現する中でこそ見出せます。「住みづらい」「生きづらい」社会が広がる中でも、「人のつながりが地域の宝」と横に広がる連携で大企業支配から自立し、また、再生可能エネルギーの活用で新しい付加価値を生む産業や事業所を地域の力でつくる取り組みが注目を集めています。
制定された小規模基本法を徹底して生かし、住民の間に支持を広げ、地域を舞台にした共同と連帯を強めていくことが大切です。
民商・全商連が提案している「日本版・小企業憲章(案)」には、中小業者の「営業の自由」が実質的に保障される経済社会への展望が示されています。また、「納税者の権利宣言」(第4次案)には憲法に基づく税制・税務行政のあるべき姿が明らかにされています。そして「恒久の平和を求める戦後70年の見解」には、痛苦の戦争体験と戦後のたたかいから「不戦の誓い」を守り抜く決意が示されています。
これらの民商・全商連の政策提案を深く学ぶことで、政治の流れを根本から変えるたたかいに、全国が総力を結集して立ち上がることが強く求められています。
仲間を増やして憲法を守り生かすたたかいをあらゆる局面で強めてこそ、中小業者の大同団結と国民が希望の持てる経済社会の実現に向かうことができます。
三、地域を舞台に経営危機打開の運動に全力を
危機に直面しながらも、知恵を寄せ合い、励まし合いながら経営努力と地域経済振興、困難の根源である政治の変革をめざしてきた2年間でした。
また、小規模基本法制定や各地での「中小企業・小規模企業振興条例」の広がり、住宅リフォームや商店リニューアルへの助成をはじめ、各種補助金、事業設備への直接支援、借換保証など、私たちが長年求めてきた制度を実現させてきました。
2年連続の全自治体要請や全会員調査は、今後の運動を飛躍させる重要な足がかりとなりました。
経済危機の時代を生き抜く努力と経営力強化の運動はますます必要になっています。「日本版・小企業憲章(案)」を国民的合意にしていくことを展望し、すべての組織が打って出る要求実現の運動を進めます。
1、力を合わせて経営力の強化と仕事おこしを
経営交流会や事業計画づくりを日常活動とし、中小業者ならではの工夫と知恵を身につける場を多様につくります。商売の強みや弱点をつかむ「SWOT(スウォット)分析」を融資や補助金申請と結合するなど、要求あるものが先頭に立つ取り組みにします。同時に、その成果と教訓を明らかにし、班や支部で「経営を話し合う」活動へと循環させます。自主記帳・自主計算の取り組みとも結合させ、記帳義務化や消費税につぶされない対策を強めます。
地域を巻き込んだ商工交流会や民商まつり、商工フェア、料飲オリエンテーリングなどを積極的に開催し、地域ぐるみの仕事おこし、顧客拡大の力にします。安心・安全な地域づくりに貢献することで、住民の信頼を広げ、共同の力で商売発展への道を開きます。
自治体や国が実施する支援制度の積極的活用を運動として取り組みます。ものづくり・商業・サービス新展開支援補助金や小規模事業者持続化補助金などの申し込みを呼び掛け、学習や経験交流を図りながら獲得に挑戦します。こうした実践を通じて制度の改善や創設の提案を積極的に行います。
すべての県連で、地域業者や研究者との連携を深め、成果を持ち寄って第20回中小商工業全国交流・研究集会を成功させます。
2、全自治体要請を毎年展開し循環型地域経済を
全自治体要請を継続しているところほど、信頼関係も深まり、地域振興と地元中小業者の役割発揮で響き合う話し合いが進んでいます。民商・県連・全商連の連携を生かし、「地方版総合戦略」への対案を示して、中小業者の意見を反映させるよう申し入れを強めます。
住宅や商店・工場のリフォーム助成制度をすべての自治体で実現・拡充させます。
小規模企業振興条例の制定とともに振興策の具体化を迫り、まちづくり、ものづくり、商店街振興、再生可能エネルギーの普及などによる持続可能な循環型地域社会の活性化策を提案します。「審議会」などに、地域の実情をよく知る中小業者の参加を求めます。全自治体で公契約条例の制定をめざします。
労働組合などが提唱する「地域活性化運動」との連携を重視し、積極的に取り組みます。
TPPの影響は農産物だけでなく、工業製品やサービス、政府調達、著作権、投資や金融、食の安全、労働、地域振興策などあらゆる分野に及びます。国の経済主権を放棄させる、アメリカと大企業中心の多国間協定です。TPP参加は、地域に根差した中小業者の営業の自由を奪い、国の在り方そのものを壊す亡国の選択です。批准阻止への共同行動を地域ぐるみで推進します。
3、部分保証による貸し渋りを許さず資金繰り改善を
政府は、信用補完制度の根幹を揺るがして、中小企業融資への保証制度を、「生産性向上」の名でITや省力化、中核企業支援、TPP対応の輸出・海外展開に集中するとともに、部分保証を5割まで引き下げることを打ち出しました。貸し渋りを助長し、中小業者の選別と切り捨てを迫るものです。
一方で、私たちの運動や実態を反映して、条件変更中の借換保証(15年返済、新規融資付)の創設や創業支援融資の条件緩和など前進面も生まれています。
「融資は権利」の立場で、融資の集団申し込みに挑戦します。金融機関や日本政策金融公庫、保証協会、自治体に対して、地域振興と結合した中小業者の資金繰りへの抜本的支援策や自治体制度融資の拡充と再確立を働き掛けます。
部分保証を撤回させます。中小業者への100%保証を確保し、無担保・無保証人制度を徹底させます。「返済凍結」や「つなぎ融資」を実現して経営を守り、中小企業金融の円滑化と金融機関の地域経済への貢献を義務付ける「日本版・地域再投資法」の制定を求めます。
4、業種別・問題別対策を強め公正取引の確立を
公共工事の品質の確保と入札の適正化で受注者の利潤を確保するために改正された「担い手3法」を活用します。発注者責任の明確化と工事代金や賃金未払いの根絶、下請け業者への法定福利費確保などを要求します。
また新たに整理・策定された「下請適正取引等の推進のためのガイドライン(16業種)」を生かして公正な取引ルールの確立をめざします。
「下請け2法」を活用して、違法行為の取り締まりを強化させ、公正取引委員会が役割を果たすよう働き掛けます。
都市再開発に際して、大型店偏重を見直させ、地域の文化も守れる商店街の再生をめざします。防災事業にも地元業者の役割が発揮できるよう自治体の計画に盛り込ませます。
経済センサス調査結果も参考にしながら、地域全体の業種動向を分析し、それに見合う業種別の集まりを多様に設け、実態や切実な要求を話し合い、交流する活動に取り組みます。
業種ごとの制度や法律の改定に際しては、影響を受ける業者を集め、県連として対策会議を開きます。
各県、地域で「業界の課題と展望」を語り合える懇談会の開催に挑戦し共同を広げます。
5、原発ゼロ、住民本位の震災復興と完全賠償実現を
東日本大震災から5年が経過してもなお、被災地では17万人が避難生活を強いられています。土地のかさ上げや堤防、道路などに偏重した復興事業が先行し、災害公営住宅建設は遅れています。人口減少に歯止めがかからず、住宅や生業再建をめざす条件を悪化させていることを断じて許すことはできません。基幹産業である水産加工の販路の再生・拡大など、中小業者への抜本的支援を行うことこそ真の震災復興の道です。
被災者生活再建支援金の500万円への引き上げや店舗・工場への適用を求め、全国災対連とともに世論と運動を強めます。
原発事故の被害が何ら収束しない中で、営業損害の賠償を打ち切るなど言語道断です。被災者とその家族を分断し、人生を破壊し、国民の幸福追求権を侵害するものです。
原発被害の完全賠償と賠償金の非課税を求めてたたかいます。「生業を返せ、地域を返せ」の生業訴訟原告団と連帯し、国と東電の責任を明らかにします。
原発再稼働を差し止める福井地裁や大津地裁の仮処分決定など、運動の成果を確信にします。
「原発ゼロ」を掲げ、エネルギー政策の根本的転換に向け、共同の力を発揮し、地域を熟知する中小業者が再生可能エネルギーの開発、普及発展に挑戦します。
四、消費税闘争を発展させ、権力の横暴是正を
「消費税を5%に引き下げることこそ、最大の景気対策」と世論と運動を広げてきました。このたたかいの中で、2015年10月に予定されていた10%への引き上げを、1年半延期せざるを得ない状況に追い込みました。景気が冷え込み、増税反対世論が常に過半数を占め続けていることは、2017年4月からの引き上げを再度、見直さざるを得ない状況をつくりだしています。
安倍政権の暴走に財源面から歯止めをかけ、「軍事立国」の野望を許さない国民的共同の前進に向けて消費税闘争を発展させます。
納税者の権利を守るために、強権的な税務調査や徴収、共通番号制(マイナンバー)などの国民監視・管理強化を許さず、権力の横暴を是正し、弾圧をはね返していきます。道理を掲げて団結と共同で展望を切り開く民商ならではのたたかいを強めます。事前通知の徹底や、お尋ね・呼び出し文書の見直し、納税緩和措置の適用拡大などの成果を生かし困難を打開します。
「納税者の権利宣言」(第4次案)を正面に掲げ、民主的税制・税務行政の確立をめざします。
権利としての社会保障制度の拡充を求め、税と社会保障負担の軽減を勝ち取る共同の運動を広げます。
1、共同強め、消費税再増税とマイナンバーの中止を
消費税は最悪の大衆課税であり、10%への増税は多くの中小業者の死活に関わります。
消費税廃止各界連絡会への結集と広範な業者団体や運動団体との共同を強め、10%阻止とともに、税率引き下げの国民運動へと発展させます。
「軽減」の名で導入しようとしている複数税率制は、際限のない税率引き上げへの布石です。また、インボイス(適格請求書)が導入されれば、中小業者に過大な納税実務負担が押し付けられ、500万もの免税業者が取引排除の危機に直面します。廃業促進の制度であることを暴露し、導入阻止の国民的理解を広げます。
逆進性や転嫁問題、営業破壊、輸出戻し税、雇用破壊、戦争の財源など消費税の本質的欠陥を告発し、廃止への展望を開きます。
共通番号制による徴税強化と社会保障切り捨ての狙い、国民管理体制による基本的人権侵害の危険性を明らかにします。個人情報保護の名の下に、番号管理・運用実務と責任を中小業者へ押し付けることの不合理を告発し、扱わなくても中小業者に不利益が及ばない運用を求めます。マイナンバー制度反対連絡会の共同を広げ、制度の中止・廃止をめざします。
2、大企業優遇をやめ、応能負担に基づく税制を
生活費に食い込む所得税・社会保障負担が、中小業者の営業発展を阻害しています。また赤字でも、転嫁できなくても、納税義務が発生する消費税制が事業継続を困難にし、不況型倒産を増加させています。重い社会保険料負担が、中小商工業の人材確保と育成を困難にしています。
一方、大企業への特権的減免税をやめるだけで25兆円もの財源が確保できます。300兆円もの内部留保を抱える大企業に応分の負担を求めるとともに、法人税率引き下げをやめ、税率を消費税導入以前の水準に戻すよう国に迫ります。所得税控除の全般的見直し、外形標準課税の強化に反対します。
そもそも、租税や社会保障制度は、所得再配分機能によって国民の生活向上をめざし、生きる権利を保障するものです。3人家族で年所得322万円まで非課税を求めるなど生活費非課税、応能負担を貫く民主的な税制の確立をめざします。
国連・女性差別撤廃委員会の「総括所見」に盛り込まれた勧告に従って、所得税法第56条を廃止するよう働きかけます。中小業者の自家労賃を経費として認める税制の実現をめざします。
3・13重税反対統一行動を、民主的税制を求める国民運動として位置付け、すべての地域で実行委員会を確立・強化します。
3、申告納税制度の擁護発展と納税者の権利確立を
税務当局は、違法な呼び出しを強めるとともに、調査に際して「質問応答記録書」への署名を強要することで、納税者を犯罪者に仕立て上げようとしています。調査と徴収のあらゆる現場で、個人の尊厳と主権者としての権利が守られるよう組織的にたたかいます。
民商の自主申告・自主計算の運動は、一人ひとりの納税者が助け合い、学び合って、行動する主権者になるという憲法実現の運動です。民商を大きくし、自主申告の助け合いの輪を広げることが民主的な税制・税務行政を実現する力になります。
倉敷民商弾圧を契機とした税理士法の拡大解釈を許さず、無罪を勝ち取るとともに自覚と団結を高めます。同時に重税に苦悩する納税者に心を寄せる税理士や弁護士など専門家との協力・共同をさらに広げます。弾圧をはね返し、税理士法の改正を求め、申告納税制度の擁護・発展をめざします。
自主記帳・自主計算を抜本的に強め、自主計算パンフレットを日常的に学習します。小法人の要求に応え、「その気になれば誰でもできる小法人の決算・申告」パンフレットをさらに普及します。
税務調査に際しては、班・支部を基礎に納税者の自覚に基づく立ち会いを強め、不当な対応には機敏に抗議・交渉を行います。
法人、個人を問わず集団申告では、仲間同士が励まし合いながら申告書を提出する行動を見届け、自主申告を尊重するよう税務署に団結の力を示します。
4、社会保障の解体を許さず、いのちと健康を守る活動を
社会保障費の自然増分さえ毎年削減し、自助努力の強要で制度を解体に導く策動を断じて許すことはできません。
国民健康保険制度の都道府県化は、住民に身近な自治体独自施策の後退につながり、国保料(税)の引き上げや徴収強化をもたらします。
中小業者にとって社会保障は営業と生活の重要な基盤の一つであり、その崩壊はいのちと健康とともに、事業の危機に直結するものです。
国保料(税)の引き下げや減免制度を活用した負担軽減の運動を広げます。強権的な滞納徴収に対して、生活費確保優先、差し押さえ禁止財産の厳格な認定などを求め、売掛金や預金などの差し押さえを解除させます。
約80万者を対象にした社会保険への強制加入が強められ、「どう対応すればいいのか」の相談も寄せられています。大企業と中小業者の保険料率が同じという応能負担に反する制度が、社会保険料を納めきれない原因です。「安心して加入できる社会保険制度の確立を」リーフレットを活用し問題解決と制度改善を働きかけます。
震災被災地での医療費、介護保険料の全額免除をめざします。
労災、雇用保険料の引き下げとともに、一人親方労災設立と加入要件の緩和を求め、小規模事業が安全に安心して働ける制度の確立を進めます。
五、戦争法廃止、民主主義・立憲主義の回復を
日本国憲法をめぐって平和と民主主義、国民主権のあり方が問い直され、立憲主義と個人の尊厳を守る自主的共同の運動へと発展しています。
沖縄県民の総意を無視する安倍政権に対して、オール沖縄のたたかいを支援し、県知事選挙や衆議院選挙などで新基地建設の策動をはね返す勝利が勝ち取られ、粘り強いたたかいを通じて辺野古の工事を中断させる状況がつくられました。
集団的自衛権行使容認の閣議決定と「戦争法」強行という暴挙に対して、立憲主義を守るという国民的共同が広がり、安倍政権への退陣要求や、野党共闘による参議院選挙への統一候補実現など、政治課題の新たな一致点が形成されました。
民商・全商連は、戦後70年に際して「恒久の平和を求める民商・全商連の見解」をまとめました。「語り継ぐ戦争」DVDを活用し学習を進めながら、国民的運動に貢献しました。「平和でこそ商売繁盛」を信条とする運動発展に向け、今後も学びと実践の羅針盤にしていきます。
安倍政権は憲法9条を敵視し明文改憲の策動を強めています。
この間のたたかいを確信にしながら、中小業者こそ平和産業の担い手であるという自覚を高め、立憲主義の回復、民主主義を取り戻す共同を圧倒的に広げていくことが求められています。地域から多様な業者団体へと運動を広げ、歴史の逆流をはね返すたたかいに立ち上がります。
1、戦争法を廃止する政権実現と憲法を力にした運動を
戦争法廃止、集団的自衛権の行使容認の閣議決定を撤回する政権づくりに奮闘します。
憲法をあらゆる運動に生かします。特定秘密保護法の発動や緊急事態条項の検討、武器の輸出や他国との共同開発、教育への介入、生活保護制度の改悪など実質的な憲法改悪を阻止するたたかいを共同の力で進めます。こうした活動を全国に広げるためにも、地域を舞台にした共同を強化します。「憲法会議」や「憲法共同センター」をはじめ一点共闘に積極参加するとともに、地域の業界・業者団体への働きかけや懇談を重視します。
民意をゆがめる小選挙区制の廃止を要求し、比例定数削減を許さない運動を進めます。憲法違反の政党助成金の廃止を求めます。
あらゆる選挙を中小業者の要求実現の機会とし、政治変革のための共同を追求します。要求と政治を結ぶ対話を広げ、すべての会員が家族ぐるみで、主権者として自覚的に政治革新に取り組めるよう、たたかう民商建設を推進します。
一点共闘の「要」、統一戦線への「懸け橋」である、「平和・民主・革新の日本をめざす全国の会(全国革新懇)」の運動に貢献します。
2、基地強化に反対し、核兵器廃絶、安保条約の廃棄を
2015年4月の日米ガイドライン改定は、自衛隊をアメリカの軍事戦略に組み込み、アメリカが起こす戦争や紛争への積極的関与、共同作戦、軍備の補完や「後方支援」などを日本に義務付ける最悪の「軍事協定」です。新たに防衛装備庁を設立し、軍備拡張まで米軍と協調していく体制が敷かれました。オスプレイや無人偵察機、強襲揚陸艦などは、明らかに米海兵隊と連携した侵略行為のための装備です。
在日米軍基地の再編強化に反対し、普天間基地の即時無条件返還を求め、辺野古への新基地建設を必ず阻止します。
軍拡予算に反対し、中小企業対策予算や社会保障予算の拡充を求めます。基地に依存しない地域振興を提言します。日米安全保障条約を平和友好条約へと切り替え、日本の真の独立をめざします。
2015年のNPT(核不拡散条約)再検討会議には、日本原水協に結集して「核兵器全面禁止のアピール署名」に取り組みました。核兵器の非人道性や核兵器使用禁止の国際条約の必要性について圧倒的多数の国の合意が形成されました。被爆国・日本政府の態度に世界が注目しており、それを決するのは国内の世論と運動です。地域から「被爆者が訴える核兵器廃絶国際署名」や共同行動を広げ、原水爆禁止世界大会を大きく成功させながら、核兵器の廃絶に向け奮闘します。
六、転換期に打って出る強大な民商・全商連を
この2年間、道理・団結・共同を貫く強大な民商・全商連の建設に力を合わせてきました。
第51回総会から約1年の折り返し点で、「恒久平和と運動の継承発展」をテーマに全商連・第2回地方別活動交流会を開催し、総勢2200人の役員が参加しました。また、助け合いの相談活動に磨きをかけて仲間を増やす力を高めるとともに、商工新聞中心の活動と班・支部建設の相乗的な推進を図ることで、全会員参加の運動を探求してきました。
いま、経営と暮らしの基盤とともに、平和国家としての国内外の信頼さえ破壊する悪政が広がっています。多彩な一点共闘の一翼を担うとともに、仲間を増やす取り組みを第一義的課題として推進してこそ、中小業者の生きる道を切り開き、民商・全商連の社会的使命を果たすことができます。
歴史的転換期に「拡大で悪政に反撃」のたたかいへと打って出る大志を、全会にみなぎらせることが強く求められています。
切実な要求を起点に「基本方向」に沿って「地域にどんな民商をつくるのか」を深め、民商・全商連の新たな前進に向けて、ともに奮闘する仲間を増やします。
1、大同団結を広げ、仲間の笑顔を呼ぶ毎月の持続拡大を
民商・全商連は、大企業にも国・自治体にも、道理に基づき正々堂々と意見を述べる団体です。地域の多数派をめざし、多くの中小業者を結集し、組織を強く大きくしてこそ、歴史的転換期を前向きに打開する展望はひらけます。
徴税の嵐や社会保障を削減する国家的な管理、戦争体制への国民動員が現実に進行する中で、潜在化する要求を対話で掘り起こし、旺盛な相談活動を通じて、広範な中小業者の間に主権者意識を呼び起こすことが「拡大で悪政に反撃」のたたかいを高揚させます。
「右手に署名、左手に商工新聞」で情勢の焦点と時々の運動の重点を伝え、「運動しつつ学び、学びつつ運動する」ことで自信と誇りを持って民商の「値打ち」を知らせます。
「仲間増やしは会員本来の願い」であることに確信を持ち、自らが掲げた拡大目標を断固やり遂げる構えと手立てを確立します。
中小業者の大同団結をめざし、末広がりの読者拡大と「読者から入会」の取り組みを追求します。
「仲間が増えてみんな笑顔」となるよう、月初めに会長と事務局長が「今月はどう会員を増やすか」を相談するなどして、毎月の会員拡大に本気で挑戦します。「減らさず増やす」持続拡大を進め、読者30万人・会員20万人の実現をめざします。
2、民商の「値打ち」を押し出す相談活動と継承・発展を
助け合いの相談活動が無数に広がり、要求運動へと発展してこそ、具体的な問題の解決とともに、さまざまな制度やルールの創設・改善を実現することができます。
営業と生活に直接関わる話題を「生きた情報」として発信し、焦点となる要求を具体的に解決する相談会・説明会・学習会を広く呼び掛けて、民商ならではの相談活動に導くことが大切です。
相談の担い手を増やすため、会内外から寄せられた相談内容を分析・検討する機会を設けるとともに、毎週の商工新聞にも大いに学び、民商の「値打ち」を押し出すテーマの設定を工夫し、実績・成果の宣伝に力を合わせます。
民商の世代的な継承発展にも、助け合いの相談活動が不可欠です。権利主張の根拠を明らかにする相談活動を通じて、国家権力の横暴を正し、国民の平和的生存権を守るたたかいは、原発ゼロや戦争法廃止などで政治的な関心を急速に高める若い世代にも共感を広げています。
独立自営の道を選んだ若者たちが、さまざまな困難を乗り越え、自信を持って商売と民商運動に力を発揮できるよう、数十年の業者人生の中にある成功や失敗、喜びや苦労を率直に伝え、相互の信頼関係を深めて運動の継承・発展を進めます。
3、商工新聞中心の活動と班・支部建設で全会員運動を
国家権力への大手メディアの迎合に社会的な反発が強まる中、商工新聞は「アベ政治を許さない」という国民共同を励ましつつ、地域に根差す中小業者の存在と民商の「値打ち」を絶えず押し出し、「拡大で悪政に反撃」と奮闘する仲間の姿を伝えてきました。
「中小業者の大同団結と平和的・民主的日本の建設に貢献する」という商工新聞創刊の精神を生かし、民商・全商連のかけがえのない機関紙として守り育てていきます。
一人ひとりの会員が商工新聞を「よく読む」よう紙面を紹介し合います。読者を「増やす」取り組みへの参加を広げます。「配達する」活動で読者の信頼を培い、民商への理解や署名運動への協力を働きかけます。確実に「集金する」ことで、民商・県連・全商連の統一的な財政強化を図ります。双方向の「通信」活動に、すべての民商が参加し、紙面をさらに充実させます。
これらの商工新聞中心の活動と結び、活発な班・支部活動が取り組まれてこそ、全会員参加の運動への展望は開かれます。
一人ひとりの会員の自覚を高め合う身近な助け合いを進め、中小業者の地位向上へ、全国の仲間が団結して頑張っていることへの理解を広げます。あらゆる集まりを生かし、すべての会員が班・支部に所属するよう働きかけます。新会員を歓迎し、班・支部に迎え入れます。班長や支部役員の学習機会を増やします。多くの会員が活動に参加できるよう実務を改善します。
4、団結を強める機関運営と学習・教育活動の推進を
民商運動がすべての会員に支えられて発展するためには、規約に基づき、団結を強める機関運営が欠かせません。会員の総意を結集できるよう討議を深めるとともに、「全商連の旗の下に」という立場から運動が統一されるようにしていくことが大切です。
すべての民商が一回一回の機関会議を充実させ、月サイクルの活動の確立をめざします。商工新聞や月刊民商、「全商連会報」から全国の仲間の前進的・教訓的な取り組みを学ぶ気風を高め、運動体にふさわしい財政活動を強めます。
SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を有効に活用し、民商運動への関心と信頼を高めるきっかけにします。しかし、蓄積した個人情報はインターネット巨大企業の管理下にあり保護される保障はありません。国家権力の監視と情報操作も強まっており注意が必要です。
一人ひとりの会員が営業と生活のさまざまな困難を解決し、乗り越えていけるよう豊かな学習機会を提供できるのも民商・全商連の優れた特質です。道理を網羅した「私たちの要求」を日常的に活用するとともに、「制度学習大綱」に基づく学習・教育活動が運動発展の力となるよう、丁寧な呼び掛けや講義内容の充実、参加者の発意を引き出す運営を図ります。事務局員対象の「学校」や「交流会」への参加を促進しつつ、民商・県連・全商連が連携して、事務局活動の系統的な継承・発展を進めます。
5、多数派結集へ節目ある「目標と計画」の具体化を
今後の2年間、転換期に打って出る、強大な民商・全商連の建設に挑戦します。
すべての民商が、担当する地域で対象業者数の10%(2014年・経済センサス基礎調査の結果で約31万8000人)以上を組織するよう、読者前面の拡大に取り組みます。すでに、より多くの仲間を迎えている民商・県連は多数派結集の大志を持ち、さらなる前進をめざします。
昨年実施した「全会員調査」結果や「経済センサス調査」の結果動向に基づき、要求運動と組織建設の一体的な推進を図る立場から「成長・発展目標」を確立します。担当する地域の特性や業種構成、会員の申告形態別組織率の現状を分析・検討します。毎年の「基本調査」結果を単なる数字とせず、月末現勢の年間集計などとも結び、拡大を起点にした活動改善に生かします。
「共同の運動の推進者」である役員会と事務局が「団結こそ宝」として一体感を強めます。
規約を厳守し、方針を堅持した役員会を確立するとともに、事務局員が組織者としての役割を発揮できるよう育成し、運動体にふさわしい予算が編成できるよう、打って出る活動計画を具体化し、全会員参加の運動に向けて、仲間の自覚的な力を引き出します。
すべての民商が「中小業者運動のナショナルセンター」の役割を、地域で担っていることに誇りと確信を深め、全国の仲間と大きく団結して奮闘します。
七、命と健康を守る助け合い共済運動の前進を
「元気に商売を続けたい」が中小業者の願いです。お互いに健康を気づかい、仲間の思いを込めた慶弔見舞を届け、集団健診を広げる共済会活動は、民商の魅力を高めています。
全会員調査でも、経営と暮らしの悪化とともに健康破壊が進行していることが明らかになりました。仲間の苦悩にも心を寄せて、助け合いの輪を広げ、命と健康を守る運動を前進させます。
健康診断の未受診者ゼロを目標に、集団健診活動を展開します。
大腸がんや婦人科など一点検診を進め、会員とその家族にも視野を広げた取り組みを援助します。
共済会で培われた「目くばり、気くばり、心くばり」の助け合い精神を全会にみなぎらせ、班に共済係、支部に共済役員を組織します。
「助ける喜びと助けられる喜び」を全会で分かち合える、より民商らしい共済へ全会員加入をめざします。
会員が入会した際の同時加入の徹底や配偶者加入を計画的に強めます。
保険業法やTPP参加による不当な干渉を許さず、団体自治を高め、助け合いの民商・全商連共済を守り抜きます。
八、家族や経営を支える業者婦人の対策強化を
業者婦人は、家族と商売を支え地域に根を張るかけがえのない存在です。第14回「全国業者婦人の実態調査」結果を生かし、国や自治体に業者婦人の要求を届け、支援施策の充実を求めます。
戦争法廃止や一点共闘のたたかいでも、業者婦人の視点や感性が生かされる取り組みを広げます。
暮らしと営業の見直し運動で、励まし語り合って困難を乗り切るとともに、日常的な自主計算活動に力を発揮します。
所得税法第56条廃止を求め、自治体の請願採択を広げて政府へ早期廃止を強く迫ります。
国保、介護、福祉の制度改悪を許さない運動とともに、出産・育児・保育や就学援助・教育などの分野でも業者婦人の要求が実現するよう奮闘します。
業者婦人の得手を生かした起業や経営改善を応援し、女性経営者を支援します。
業者婦人の力と心をひとつにできる婦人部をすべての組織につくり、会員比6割以上の婦人部建設と10万人全婦協に向け援助を強めます。
九、民商の未来を担う業者青年の対策強化を
全青協は、シールズやサドル(民主主義と生活を守る有志)、あすわか(明日の自由を守る若手弁護士の会)などとともに戦争法廃止や大阪都構想阻止、憲法擁護の青年運動の一翼を担って活動してきました。
また、業者青年の経営を伸ばす活動交流とともに、「全青協40年ウエルカム企画」を大きく成功させ、民商運動の継承・発展の力にしてきました。
新規開業や事業承継を応援し、業者青年に魅力ある民商の建設にすべての組織が取り組みます。
第14回全国業者青年交流会(2016年秋)で、若い世代のかけがえのない出会いが広がるよう応援し、商工交流会運動や民商まつりなどで力を発揮できるよう支援します。
「民商サクセション(継承)」企画(案)を練り上げ、県連と県青協共催の交流・懇談会を楽しく成功させます。
強く大きな青年部建設に民商・全商連運動の未来がかかっています。業者青年を主人公にした青年部の結成や再建にすべての組織が挑戦します。1万5000人全青協を展望し、2016年11月の第41回総会までに1万1000人の現勢をめざします。
十、連合会組織の役割発揮と県連機能の強化を
困難かつ複雑な相談の解決の道を見い出しつつ、地域振興とともに中小業者の生きる基盤を改善していく運動を広げるために、連携と団結を強めます。
いま、民商が県連の構成単位であることに自覚と責任を持ち、県連方針に団結して活動することで、それぞれの発展をめざすことが大切です。県連の活動を民商が支え充実させます。
自立した運営を基礎にしながら、民商は県連へ、県連は全商連に結集し、規約に基づく運営に責任を持ち、方針に団結して、統一した運動を一斉に展開できることが連合会組織の優位性です。
全自治体要請や団体申し入れ、業種別・問題別対策で県連が指導性を発揮します。統一行動やニュースでの情報交換など、激励し協力し合う拡大行動に取り組む上でも県連が役割を果たします。
県連は地域の実情に合わせて次の任務を推進します。
(1)民商の進んだ活動の教訓を広げるとともに、全商連方針・決定を具体化します。(2)県規模での運動を組織するとともに、政令指定都市対策にも取り組みます。(3)民商とともに支部役員の育成を援助し、空白地域の克服に計画をもって取り組みます。(4)全商連とともに、事務局員の力量が全体として高まるよう活動を交流し、小規模民商での討議や学習を援助します。
十一、おわりに―歴史の転換期に立って
民商・全商連運動の基本は、みんなで力を合わせて運動し、一人ひとりの会員の要求はもとより、全中小業者の要求実現のために奮闘することです。
全商連65年の歴史が明らかにしているように、地域の中小業者・中小業者団体と力を合わせて要求実現のために奮闘するなら、情勢は必ず切り開くことができます。今日の情勢の進展は、国民の世論と運動こそが政治を動かす力であることを示しています。
共同の力で、中小業者・国民本位の政治に改めさせ、「中小業者の時代」をつくりあげましょう。
特別決議
「戦争する国」づくり阻止、政治の転換をめざして、参議院選挙を全会員参加でたたかおう
日本社会は、権力者による憲法破壊という、戦後最も深刻な非常事態に直面しています。
暴走を繰り返す自公政権は、「戦争する国」づくりへと戦争法を強行し、アメリカが起こす戦争に参加しつつ、「軍事」を大企業の利潤拡大の道具にしようとしています。安倍首相は憲法9条改悪を目標に、明文改憲を公言するに至っており、立憲主義、民主主義、平和主義の原則を否定し、明白な憲法違反の道を進んでいます。また、軍事費や大企業減税の財源のために、社会保障を削減し消費税大増税を続けようとしています。こうした政治姿勢そのものが、額に汗して働く中小業者や労働者を困難に陥れ、切実な要求実現を阻む最大の障害になっています。
これに対し、国民一人ひとりが、主権者として立ち上がり、戦争法反対、廃止を求める運動がかつてなく広がり、政治を変える運動へと発展しています。消費税増税中止をはじめ、原発再稼働反対、米軍新基地建設反対、TPP(環太平洋連携協定)批准反対、社会保障切り捨て反対など国民各層の一点共同の運動が、地域の保守層も含め、安倍政権打倒の流れに合流してきています。
市民の動きに励まされ今年2月、野党5党は、戦争法廃止、安倍政権打倒に向けて、国政選挙で与党と補完勢力を少数に追い込むことを目的に、選挙協力も行うことを合意しました。参議院の1人区での野党統一候補の擁立は、32選挙区のすべてで追求されています。
7月に行われる参議院選挙は、こうした歴史的岐路の情勢の下で、独裁的戦争国家への逆流を許すのか、日本国憲法に基づく新しい政治を築くのか。二つの道の選択が問われる選挙です。
民商・全商連は、戦争法廃止を前面に、中小業者の要求を掲げ、要求実現の選挙としてたたかいます。安倍政権打倒に向け、「野党共闘」を支援しつつ、政治と要求を切り結ぶ対話運動を全会員参加で進めます。
中小業者が生き抜くために、今、政治の力で五つの転換を図らなければなりません。
▼税金の取り方では、消費税大増税を延期ではなく、きっぱり中止させ、大企業・富裕層の税逃れをただし、生活費非課税・応能負担の税制への転換が必要です。▼税金の使い道は、大軍拡予算をただちにやめ、営業と生活の基盤として社会保障を拡充し、「格差と貧困」の是正に転換すべきです。▼大企業に莫大な内部留保を拡大する「アベノミクス」をあらため、地域循環型の経済政策で小企業・家族経営の再生への転換が必要です。▼異常な秘密交渉によるTPPを許さず、食の安全や経済主権を守るとともに、「原発ゼロ」のエネルギー政策に転換するべきです。▼そして、「戦争する国」づくりから、平和で、安全・安心な「防災・減災の国」づくりへの転換が全国民の願いです。
この要求を「野党共闘」候補や政党、業者団体に届け、共同の呼び掛けを進めます。すべての会員が、政治を変える主権者として立ち上がることが、中小業者が希望を持てる未来を開く道です。
たたかいの構図は「自公とその補完勢力」対「4野党プラス市民・国民」です。
私たちは、参議院選挙を日本の政治に立憲主義、民主主義、平和主義を取り戻す選挙にするために、草の根から全力を挙げてたたかうことを誓い、本総会の名をもって右、決議します。
2016年5月22日
全商連 第52回定期総会
全国商工新聞(2016年6月6日付)
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