全商連第52回定期総会 強大な民商・全商連を
歴史的転換期に共同広げ
戦争法の廃止と消費税10%中止
圧倒的多数で方針案、決算・予算案を採択した全商連第52回定期総会
「戦争法廃止、消費税10%への引き上げを中止させ、中小業者の時代を切り開こう」―。全国商工団体連合会(全商連)第52回定期総会(5月21〜22日)は歴史の転換期に国民共同を広げ、地域に打って出て、強大な民商をつくりあげる活動方針をはじめ「私たちの要求」、決算・予算案など諸議案と、「『戦争する国』づくり阻止、政治の転換をめざして、参議院選挙を全会員参加でたたかおう」との特別決議を採択し、実践の先頭に立つ役員を選出しました。総会をめざす拡大では、開催地の大阪商工団体連合会(大商連)が商工新聞読者4835人を拡大するなど大奮闘したのをはじめ、延べ8県連、289民商が表彰されました。
新たな前進へ 決意固め合い
名誉会長に選任された国分稔前会長
「『歴史的転換期』に打って出て、地域に根ざした強く大きい民商をつくろう」―。太田義郎新会長のあいさつ(別項)に、全国から参加した672人の役員・代議員・評議員は満場の拍手で応え、地元での実践を誓いました。
「衆院札幌5区補選をたたかい、あと少しで勝てた。市民と野党の共闘で私たちの政府をつくろう」―。全体会の発言と29会場での分散会討論は、どれも方針案を豊かにするものばかり。戦争法廃止を求める共同行動の広がりをはじめ、熊本地震の救援活動、強権徴収に対し「換価の猶予」(申請型)の集団申請を広げた運動、全自治体要請で政策提案を強め、経営力強化の運動を広げてきたこと、野党共闘と政治革新、復興住宅建設など仕事おこしの取り組み、事業と運動の継承発展、所得税法第56条廃止を求める運動など、多彩な実践が報告されました。
組織建設をめぐる議論では「拡大で悪政に反撃」「仲間増やしにこだわり、必ず前進したい」との思いが共通して出されました。”30年ぶりに会員で2年連続増勢””この10年で最大の会員拡大”など、困難な中でも増勢を勝ち取った経験が語られ、新たな前進への決意を固め合いました。
常任理事会を代表して報告した岡崎民人事務局長は、全民商が毎月、会員をもう一人増やすか、退会を防ぐことができるなら全国的に前進の軌道に乗るところまで接近していると述べ、「『減らさず増やす』持続拡大を進め、読者30万人・会員20万人の実現をめざそう」と呼び掛けました。
多彩な実践に 確信と共感が
総会開催中も、参加者は地元と連絡を取り合い、「10カ月ぶりに1万人読者を回復」(北海道連)、「最終日まで一人でも多く読者を増やそう」(高知・香美郡)などの奮闘が続きました。総会は2日目の全体会で、読者で対象業者比60%の最高現勢を築いた兵庫民商、読者・会員ともに最高現勢に達した鹿児島・徳之島民商などを表彰しました。
大商連の小迫忠雄拡大推進委員長=旋盤加工=の地元で、前総会時から読者を15%以上増やした大阪・布施民商の北西照子会長=不動産=は「会員848人のうち100人以上が成果を挙げた。”誰かがやる”ではなく、みんながやらんと」と話しました。
沖縄・北那覇民商の下地勝博さん=不動産=は総会初参加。「沖縄の事件は憤まんやるかたない。基地あるがゆえの犯罪だ。県議選では、翁長県政を支える”オール沖縄”の与党勝利で新基地建設を必ず阻止する」と力を込めました。
参議院山形選挙区での野党統一候補の必勝をめざし、理事会で推薦を決めた山形民商の佐藤弘会長=看板=は「戦争法廃止、安倍政権打倒、TPP批准反対、10%増税中止などの確認書を県連が候補者と取り交わした。必ず勝利したい」と決意を新たにしました。
総会では、シールズ関西の女子学生・鈴木詩穂さん、日本共産党の山下芳生副委員長、全国労働組合総連合の小田川義和議長が来賓あいさつ。特に、安倍暴走政治への広範な市民との共同を反映した鈴木さんのあいさつが注目を集め、「沖縄に米軍基地があることで、私と同じ20歳の女性が突然、命を奪われた。心身ともに健康で豊かな暮らしを求め続けていきましょう」と述べ、共感の拍手に包まれました。
会長あいさつ 全国商工団体連合会 会長 国分 稔
運動の成果に確信深め国民的な共同の前進を
第52回定期総会にお集まりいただいた代議員、評議員の皆さん、ごくろうさまです。ご臨席いただいた来賓の皆さん、そして、献身的に運動を支えていただいているご家族や事務局員の皆さんに、全商連を代表して厚くお礼申し上げます。また、前総会以降、民商・全商連運動に貢献され、他界された役員・会員の皆さんのご冥福をお祈りし、哀悼の言葉を送りたいと思います。
この会場には、熊本地震で大きな被害を受けながら、この会場に駆け付けている仲間の姿もあります。
さまざまな困難がある中で、歯を食いしばって営業と暮らしを守り、中小業者の要求実現のために奮闘する仲間の皆さんは、民商・全商連運動の宝であり、私の誇りであります。
今総会のスローガンである「戦争する国づくり阻止! 共同と団結で、強大な民商・全商連を」の言葉には、前総会以降、2年間の情勢の特徴と、これからの2年間で何をめざすのかが端的に示されています。
私たちは、空前の国民運動となった戦争法反対のたたかいの一翼を担い、共同の発展に力を尽くしてきました。そして、消費税増税中止を求める運動の先頭に立って奮闘しています。
憲法改悪を狙う安倍政権の暴走が続く今日、商売する自由を奪われ、戦争へと駆り出されていった人たちの痛苦の思いを胸に刻み、「平和でこそ商売繁盛」を信条とする民商・全商連の役割を大きく発揮していこうではありませんか。
私たちは、13年ぶりに取り組んだ全会員調査の結果も生かして全自治体要請を展開し、緊急切実な要求実現と組織の拡大・強化に力を合わせてきました。
マイナンバーの廃止を求め、省庁交渉を繰り返し、「記載がなくても不利益はない」という回答を引き出し、業者の不安に応えてきました。店を休めば収入に響く自営業者が、仕事を休んで役所と交渉し、その結果を40万枚の商工新聞号外にして、自分たちの手で地域に配るなど、民商・全商連の真骨頂を発揮してきました。
20年ぶりに全商連総会の開催地となった、ここ大阪では、自ら掲げた拡大目標達成のために奮闘を続けながら、総会成功を支えようと力を合わせています。全国各地の民商・県連も、この総会をめざして、「仲間を増やして総会を迎えよう」「表彰基準を突破しよう」と拡大の輪を広げています。
皆さん。今年は全商連創立65年の節目の年です。私たちが築いてきた多彩な成果に確信を深め、民商・全商連をさらに大きくし、国民的な共同をさらに前進させようではありませんか。
来る参議院選挙で、戦争法を廃止し、消費税増税を中止させ、中小業者が希望の持てる政治へと転換するために、審判を下そうではありませんか。
その力になるのが、この総会です。全商連共済会の第24回総会も開かれます。体に気を付けて、総会成功へ、最後までのご奮闘をお願いして、私のあいさつといたします。
来賓あいさつ 共同と団結を強めよう
判断し行動する力を 鈴木 詩穂さん=関西市民連合・シールズ関西
5月19日、沖縄県うるま市で島袋里奈さんが遺体で発見され、元米兵の男性が逮捕されました。「女の子が一人で出歩くから」。私はこの発言に恐怖と怒りを感じます。20歳の女の子が夜8時にウオーキングに出かけることはごく普通のことです。悪いのは容疑者です。問題なのは普通の生活をしているだけで命が奪われるような状況が、基地があることによって生み出されていることです。
同じようことが何度繰り返されてきたか、普通に生活して生きることがかなわない。このことがどれほど異常なことなのか、私たちはもう一度確認し合わなければなりません。
安倍首相の言葉は、私の中になかなか入ってきません。毎日繰り広げられる言葉遊びによってもてあそばれているからです。言葉の通じない彼らに憲法をいじらせるわけにはいきません。いま求められているのは、他国との確かな信頼関係の上に成り立つ武力に頼らない解決手段を見出す安全保障のはずです。
情報の一つひとつをリンクさせ真実を見抜く力、自分で正しい情報を判断し行動する力が私たちに求められています。皆さんと一緒に強くしなやかに生きていきたいです。
希望ある政治一緒に 山下 芳生さん=日本共産党 副委員長
今、日本の政治は憲法9条を踏みにじり、海外で戦争する国へとひた走る政権のこれ以上の台頭を許すのか、それとも野党の共闘で憲法に基づくまっとうな政治、新しい政府をつくるのか、歴史的局面にあります。
またも米軍関係者による卑劣な犯罪が繰り返されました。断固抗議します。基地撤去こそ最も有効な解決策ではないでしょうか。
5月19日、民進、共産、社民、生活の4野党の党首会談で来年4月からの消費税10%への引き上げに反対することが確認されました。
参院定数1の32区の選挙区で野党統一候補が実現しました。党首会談では衆参同時選挙に備えて衆院選挙でもできるだけの協力を行い、具体化を加速させることで合意しました。バラバラだった野党がここまで心一つになったのは国民の皆さんの世論と運動があったからです。平和こそ商売繁盛、民商・全商連の青旗が翻っていたことを忘れてはなりません。
「自公と補完勢力」対「野党4党プラス市民」というのが対決の構図です。政策や理念が違う野党が選挙協力するのは野合だと言っていますが、国民の声に応えることが野合であるはずがありません。理不尽な攻撃を打ち破って安倍政権を選挙で倒して、希望ある政治を一緒につくりましょう。
地域から政策転換を 小田川 義和さん=全国労働組合総連合 議長
戦争する国づくりを進め、一層の大企業中心の国にしようとする安倍自公政権に対して戦争法廃止、立憲主義の回復、個人の尊厳、暮らしと権利を中心に据える政治への転換を市民と野党が共同して求めるという歴史的なせめぎ合いの中でたたかいが進んでいます。安倍政権を退陣に追い込むため力を合わせていきたいと思います。
90年代以降労働者の雇用、労働条件、暮らしは悪化の一途をたどっています。派遣や契約などの非正規雇用が増え、労働者の賃金は1997年をピークに低下し、実質賃金は5年連続のマイナスです。子育て世代の貧困化が進んでいます。
一方で、トヨタ自動車は円安効果で純利益が過去最高となり、3年連続の最高益更新です。2015年、富裕層40人の資産は15・9兆円に達し、2012年から倍増しています。1%に富が手中し、99%が貧困化したのがアベノミクスです。
私たちは公契約条例の制定や最低賃金・時給1000円の実現、介護、保育労働者の処遇改善を通じて労働所得の底上げを図り、地域経済の底を支える。こうした経済政策への転換を地域からの運動でめざすことを提案しています。さらに共闘を発展させましょう。
○ 常任理事会報告
政治改革と運動発展で歴史的局面切り開こう 事務局長 岡崎民人
全国商工新聞(2016年6月6日付)
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